《政治・行政 》
コスモピア跡地に早期建設を求める会が肝付町に嘆願書提出
肝付町内之浦地区にあった温泉・宿泊施設「コスモピア内之浦」は、5年前に休館し、現在解体工事が行われている最中だが、令和7年9月22日、「コスモピア跡地に早期建設を求める会」(柳川早百合会)ら10人が、町役場を訪れ、3366人の署名簿とともに、新たな宿泊施設や温泉施設の整備を肝付町長に求めた。

写真=柳川会長㊨から永野町長へ嘆願書が手渡される
これは、同会が「早期の温泉施設および宿泊施設建設を求める嘆願」として、町民に署名を求め集まったものを、この日提出したもの。
嘆願趣旨は次の通り。
4年前に提出いたしました国民宿舎コスモピア内之浦の存続を求める嘆願は、残念ながら町長および議会の判断により解体という結論に至り、現在解体工事が開始されております。
しかしながら、その後の町長の発言において、解体後に新たな温泉施設と宿泊施設を建設するとの表明がありました。
内之浦地区住民としましては、この発言を大変心強く感じております。
国民宿舎コスモピア内之浦は、ロケット発射場を持つ肝付町において、観光振興、地域交流、福祉向上に重要な役割を担ってきた施設です。
解体は止むを得ないとしても、その代替となる温泉施設と宿泊施設の早期建設は、内之浦地区の活性化にとって不可欠です。

つきましては、町長におかれましては、以下の事項を速やかに実行していただきますよう強く嘆願いたします。
1.新たな温泉施設と宿泊施設の具体的な建設計画を早急に策定し、住民に公表すること。
2.建設スケジュールを明確にし、早期着工、早期完成を目指すこと。
3.建設にあたっては、住民の意見を十分に聞き、地域ニーズに合った施設とすること。
内之浦地区住民一同、新たな温泉施設と宿泊施設の早期建設を心より願っております。何卒、町長のご理解とご尽力をお願い中し上げます。

写真=嘆願の内容を読み上げる柳川会長
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また、この日の嘆願書は、「永野町長におかれましては、内之浦地区住民の長年の願いである新たな温泉施設と宿泊施設の早期建設について、以下の事項を速やかに実行していただきますよう、強く嘆願いたします。」として、署名趣旨の3事項を列挙。
内之浦地区では、国民宿舎コスモピア内之浦の休館から5年の月日が経過し、解体が進められておりますが、町長が表明された新たな温泉施設と宿泊施設の建設は内之浦地区の活性化に不可欠であり、住民一同、心強く感じております。
本日、町内外より3000名を超える「早期の温泉施設および宿泊施設建設」を求める嘆願を提出いたします。署名された多くの方々の声を受け止め、早期の建設にご尽カくださいますようお願い申し上げます。
本嘆願へのご回答は、令和7年10月10日までに文書にていただけますと幸いです。…というもの。

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コスモピアについての町の動き
同施設は1998年開業。鉄筋4階建で宿泊定員106名(和室13室、洋室26室・うちシングル17室)、大浴場・サウナを備えた温泉施設、110畳の宴会場、会議室、レストラン、ティーラウンジ、売店などの設備があり、地元民の憩いの場、宴会や交流の場、観光・帰省客やロケット打ち上げ施設関係者の利用でにぎわっていた。
しかし、近年収益が減少し、さらにコロナ禍の影響もあって運営事業者が撤退、2020年9月から休館が今まで続いている。
町は、2021年3月に設置した「国民宿舎コスモピア内之浦のあり方検討員会」に諮問。有識者等による検討で、施設の老朽化など大規模修繕費約6億3000万円、温泉棟の天井・浴槽配管等1億5000万円程度など約7億8000万円がかかり、規模を縮小した新施設の整備方針を提示などの答申を12月に受けた。
2023年3月には、町幹部やマネジメント会社による住民向けの説明会が行われ、検討委員会の状況説明があったものの、住民によると、解体の方針はつたえていなかったという。
町は、2023年12月から同施設の運営に係る優先交渉権者公募を行い、2024年3月には、優先交渉権者を選定し、決定した優先交渉権者が解体後の跡地利用を希望しており、6月補正で国民宿舎コスモピア内之浦の解体に係る設計監理業務委託料を計上。
優先交渉権者の主な提案内容は、温泉施設の整備、ホテル事業=シングルサイズの部屋を複数戸整備、飲食事業=新鮮な海鮮料理、辺塚だいだいを使用した食事の提供など今後の方針が説明された。

半年後に完了する解体後の新施設整備計画を少しでも早く示して…
その後、今年1月23日に、優先交渉権者による白紙撤回の申し入れがあったが、町側との話し合いで継続して新施設の整備の協議をすすめていくこととなった。
そうした中で、解体工事が今年2月から進められ、来年3月に完了予定となっている。
町としては、町と優先交渉権者との話し合いを進め、もし協議が整わなかった場合は、町が整備していくという方針を打ち出している。
「コスモピア跡地に早期建設を求める会」では、休館となって5年となり、来年3月に解体完了の予定になっているものの、その時点で、跡地にどういった新施設が整備されるのか、その青写真やスケジュールが町民に対して示されていないことに対しての不満があり、「内之浦地区住民の長年の願いである新たな温泉施設と宿泊施設の早期建設」という形での嘆願となったもの。
同会の柳川会長らは、「優先交渉権者からのその後の計画も示されていず、いつ新施設が整備されるかわからず、もしそれが不調になって、町が整備していくとなると、どれだけ時間が掛かってしまうのか、この内之浦を作った先輩方に申し訳ないし、少しでも早く高齢者の心のより所をもう一度作りたい。ふるさとの拠り所としての宿泊施設もお願いしたい」など語っている。
永野和行町長は、「地域のみなさんとしては、5年間放置しているのではないかという思いも確かにあるとおもう。スピード感をもって対応していきたい」など話していた。