《コラム・随想 》
国見岳に行けなくなっているのはどうなのか…三岳参りも…
JAXA内之浦宇宙空間観測所から令和7年7月8日正午~午後1時までの間で打ち上げられる予定だった小型観測ロケット「S−310」46号機は、上空の観測条件が整わなず延期となった。
5月には、岸良海岸から千葉工業大学ハイブリッドロケット初号機「CO-1」打上実験が行われ、打上に成功。
同ロケットは、地元岸良地区の子どもたちが「きしら宇美亀(うみがめ)ロケット」と命名し発射された。
ロケット打ち上げになると、県内外各地から見学者が内之浦に集まるが、打ち上げ見学場もあり、そこから多くは見学する。

そうした中で、国見岳山頂近くや、国見岳から黒尊岳に向かう入口に国見平があり、実はそこに頑丈な門扉があって、そこまでは車で行けない。
その門扉から30分から40分だろうか、歩いていくと高屋山上陵跡がある。
ここは、吾平山上陵ととともに明治7年まで天皇陵として治定されており、江戸時代までは、海岸線の道路やもちろんトンネルもなく、山越えで内之浦~高山間を行き来していて、山頂付近で広大な肝属平野を眼下に手を合わす。
高屋山上陵近くでは、内之浦のマチも眼下に見え、ロケット打ち上げも基地からの発射というより、山あいから真っ青な海と空を背景にロケットの煙が糸を引くように、また違ったロケット打ち上げの様子を見ることができ、また違った感激となる。

ところが、国見平の門扉まで車で行き、そのあとは歩いて海の開ける場所まで移動して見学する。
そういう人たちもいる。
8日の日は、時間を早めに出発し、国見平から歩いて発射を見学しようと出掛けた一行が、トンネル前の登り口から車に乗って出発したが、間もなく、今度はチェーンで封鎖され、前には進めなかった。
標高886.5mの国見岳で、チェーンが張ってあったのは300m前後で、標高500m~600mほど徒歩で歩いて行かないと開けたところはなく、とてもじゃないが発射時間まで間に合わない。

チェーンのある看板には、「この先は林道ではありません。この先は国有林貸付地です。関係者以外の通行を禁止します」
仮受者、合同会社ユーラスエナジー肝付とあるが、同社の連絡先は調べても分からなかったという。
これまで国見平までは行け、そこからの眺望もだし、三岳参りの中継点でもあるところには、もう車ではいけない。
これまで国見岳という信仰や修験道の道でもあり、営林署や風力発電の都合もあるが、歴史好きや自然を好きな人たちが通れなくなっている山々、何か違う…そう思うが、皆さんはどう感じられますか?(米永20250710)