2024年05月02日 09時01分

《雑草 》

海自鹿屋基地が今後、どういった姿になっていくのか

 前回からの続きで、防衛力整備計画の方針には、次の記述(抜粋)がある。

 相手の能力と新しい戦い方に着目して、5年後の2027年度までに、我が国への侵攻が生起する場合には、我が国が主たる責任をもって対処し、同盟国等の支援を受けつつ、これを阻止・排除できるように防衛力を強化する。
 おおむね10年後までに、防衛力の目標をより確実にするため更なる努力を行い、より早期かつ遠方で侵攻を阻止・排除できるように防衛力を強化する。

写真=防衛力整備計画資料から

有人アセット、さらに無人アセットを駆使

 万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、これらの能力に加え、有人アセット、さらに無人アセットを駆使するとともに、水中・海上・空中といった領域を横断して優越を獲得し、非対称的な優勢を確保できるようにする必要がある。このため、「無人アセット防衛能力」、「領域横断作戦能力」、「指揮統制・情報関連機能」を強化する。

 さらに、迅速かつ粘り強く活動し続けて、相手方の侵攻意図を断念させられるようにする必要がある。このため、「機動展開能力・国民保護」、「持続性・強靱性」を強化する。また、いわば防衛力そのものである防衛生産・技術基盤に加え、防衛力を支える人的基盤等も重視する。

 加えて
 防衛力の抜本的強化に当たっては、スクラップ・アンド・ビルドを徹底して、組織定員と装備の最適化を実施するとともに、効率的な調達等を進めて大幅なコスト縮減を実現してきたこれまでの努力を更に強化していく。
 あわせて、人口減少と少子高齢化を踏まえ、無人化・省人化・最適化を徹底していく。

 そして施設整備では
 無人アセット等の新たな装備品を効率的に運用可能な施設整備を行う。
既存施設の更新に際しては、爆発物、核・生物・化学兵器、電磁波、ゲリラ攻撃等に対する防護性能を付与するものとし、施設の機能・重要度に応じた構造強化、離隔距離確保のための再配置、集約化等を実施する。

 大規模災害時等における自衛隊施設の被災による機能低下を防ぐため、被害想定が甚大かつ運用上重要な駐屯地・基地等から、津波等の災害対策等を推進する。今後、気候変動に伴う各種課題へ適応・対応し、的確に任務・役割を果たしていけるよう、駐屯地・基地等の施設及びインフラの強靱化等を進める。

 こうした施設整備は、関係省庁や民間の知見を活用しつつ、5年間で集中して、円滑に執行していく。

固定翼哨戒機の電子戦、対艦攻撃等の能力を向上

 これらのほか、陸海空各自衛隊の体制等が整備され、統合運用体制として
 各自衛隊の統合運用の実効性の強化に向けて、平素から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現できる体制を構築するため、常設の統合司令部を創設する。この際、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増していることを踏まえ、速やかに当該司令部を創設するとともに、共同の部隊を含め、各自衛隊の体制の在り方を検討する。

 海上自衛隊については、保有すべき防衛力の水準についてや、基幹部隊の見直し等が詳しく記され、能力向上した固定翼哨戒機(P-1)及び哨戒ヘリコプター(SH-60K(能力向上型))の整備を進めるとともに、固定翼哨戒機の電子戦、対艦攻撃等の能力を向上させる。

 このほか、全体的な弾薬等の整備として
 12 式地対艦誘導弾能力向上型等のスタンド・オフ・ミサイル、弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル(SM-3ブロックⅡA)、能力向上型迎撃ミサイル(PAC-3MSE)、長距離艦対空ミサイル(SM-6)、 03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上型等の各種弾薬について、必要な数量を早期に整備する。

 加えて、早期かつ安定的に弾薬を量産するために、防衛産業による国内製造態勢の拡充等を後押しする。さらに、弾薬の維持整備体制の強化を図る。…などとある。

万が一、わが国への侵攻が生起した場合を想定

  海上自衛隊、あるいは無人アセットなど中心とした記述の抜粋なので、前後が繋がらなく分かりにくいかもしれないが、安保三文書の閣議決定により反撃能力の保有が明記され、防衛白書や国家防衛戦略では「万が一、わが国への侵攻が生起した場合」を想定。

 防衛力整備計画では「防衛力の抜本的強化」「より早期かつ遠方で侵攻を阻止・排除できるように防衛力の強化」「無人アセット防衛能力強化」「既存施設の更新では、爆発物、核・生物・化学兵器、電磁波、ゲリラ攻撃等に対する防護性能を付与」「施設整備は5年間で集中して円滑に執行」「固定翼哨戒機の電子戦、対艦攻撃等の能力を向上させる」「防衛産業による国内製造態勢の拡充等を後押し」など、海自鹿屋基地の役割がより重要になり、無人アセット防衛能力を高めるとともに、固定翼哨戒機の能力向上のために多額の予算で整備、更新されていく。

防衛力整備計画である程度のイメージを

 海自鹿屋基地が今後、どういった姿になっていくか具体的には示されてはいないが、これまで数回書いてきた内容からして、ある程度のイメージができると思う。
 
 急激に変化していく我が国の防衛戦略。鹿屋市民としては、もっと身近にこれら情報が欲しいところだが、今後「常設の統合司令部が創設」されるとともに、「日米防衛協力」がより強化されていくと、さらに複雑になっていく。
 なので基地のある町に住む私たちも、それなりの覚悟のようなものが求められることになるのだろう。(米永20240502)

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