2023年11月30日 01時08分

《宇宙 》

風が強く海上がシケようで、2日に打上は再度変更

観測ロケットS-520-32号機

観測ロケットS-520-32号機は昨年打ち上げられたが、今年は33号機が打ち上げられる。

当初は11月24日に打ち上げる予定だったが、準備が整わず、12月1日に打上は延期になった。しかし、1日は風が強く海上がシケようで、2日に打上は再度変更になったと発表があった。
ロケットは海上に着水したら、回収する予定。

 内之浦宇宙航空観測所で11月29日、観測ロケットの概要説明と機体報道公開が行われた。羽生宏人観測ロケット実験グループ長ら5人が登壇して、概要説明があった。
会場にはロケットに搭載される実験機器の模型が展示され、実際に模型を見ての説明があり、説明後に実際打ち上げられるロケットが、報道公開された。

 今回の観測ロケットは次の4項目の実験を行う。
1、インフレータブル型データ回収システム
実験内容は、超小型の火星着陸探査機や,小型衛星の地球低軌道からの帰還機への適用に向けた「大型のインフレータブル展開型エアロシェルの実証試験」。
2021年打上のS-520-31号機搭載からの発展機。
 インフレータブルリング(浮き輪)にガスを充填することで、高い構造強度を発揮し、空気力に耐えられるエアロシェルを形作ることができる。高耐熱性の素材で構成され、柔軟で小さく折り畳んで収納することができる。
膜面フレアは骨なしの傘のようで、 大面積で空気を受け止め、機体を減速し、柔軟で小さく折り畳んで収納することができる。
 軽量・大面積のエアロシェルにより、効率良く機体を空力ブレーキングでき、大気圏突入時の加熱の緩和と着陸速度の低下(着陸衝撃の緩和)ができる。

2、インフレータブル伸展プラットフォーム実証実験
 インフレータブルな(気体の圧力で膨張し、長さ、表面積、体積が変化する)構造内容部材を使い、観測ロケット用の伸展プラットフォームを構築する実証実験。
構造物としての利用容積を拡大でき、小さいノーズコーン内容積から何倍もの構造物を展開できる。

3、PIデータ収集装置
 機上のデータの取扱いを簡便にし、効率良くデータを送るためのシステム(PDC)を構築し、各種センサからのデータ収集・伝送実験を行う。
 近年のカメラの高解像度化、観測データの高精度化などにより地上に送るデータ量は増加している。また、観測ロケット実験では実験者が装置を設計製造する場合が多い。本実験では実験機器のデータ転送を仲介する装置を開発し、技術障壁となるデータ送信部分の開発を不要とし機器の開発を容易にし、データの取り扱いを簡便にし、効率よくデータを送るためのシステムを構築し、カメラ画像や各種センサーからのデータ収集、それらのデータを地上への伝送する実証実験を行う。

4、観測ロケット?航法センサ
 ロケットの??中の位置、速度を計測する航法センサと、?律??安全管制の計算ソフトウエアの機能性能を実証確認する。
 衛星測位と慣性センサの複合航法技術を基にし、三菱プレシジョン株式会社が開発し、小型ロケット用に小型軽量化、低コスト化を実現したものである。JAXA研究開発部門第四研究ユニットが開発した自律飛行安全管制ソフトウェアと、実行する計算機が組み込まれている。
自律飛行安全の計算機とソフトウエアを国内で初めて飛行実証することで、国内で開発されている民間の小型ロケット等に展開が進むことが期待される。
地上レーダー、地上の飛行安全管制、地上の保安用コマンド指令(飛行中断)の機能を全て合わせてロケットに搭載できるようになり、将来の地上インフラの整備維持、運用負担を軽減できる。この技術が民間の小型ロケット等に適用展開されれば、市場競争力、ロケット運用性の向上につながる。

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