2024年02月21日 09時09分

《伝統 》

大隅半島に春の到来を告げる御崎祭り、4年ぶり本格的に

 大隅半島に春の到来を告げる御崎祭りが令和6年2月17日から3日間、南大隅町の佐多地区で行われた。

御崎祭りは昔から荒天でも行われているが、新型コロナ禍のため4年ぶりに本格的に実施された。

 初日の17日は晴天に恵まれた暖かい朝で、いつものとおり午前7時から佐多岬にある御崎神社で神事が行われ、神社の御神体を御崎柴に移し、御崎神社の妹神が七浦越えて姉神を探しに郡地区まで神幸する旅が始まった。

 七浦とは田尻・大泊・外之浦・間泊・竹之浦・古里・郡地区のことだ。

 御崎神社から、狭い遊歩道を駐車場まで進み、車に乗って最初の旅所である、田尻集落まで神幸する。途中で一行は南の海に向いて神幸の挨拶を行い、途中の北緯31度線の駐車場で山の神を遙拝し、旅所の田尻集落に向かった。

 田尻集落の旅所はえびす神社横広場で、集落の人々と神輿担ぎ、鉾持ち、傘持ちの人々が出迎え、臨時のお札やお守り販売が始まった。

 先に神輿が旅所に着くと、鉾が神輿の前まで進んで神輿を清めた。引き続き傘持ちが、神輿に陽が当たらぬよう神輿に差し掛けていた。4年ぶりの本格的な祭りだったが、広場には地区の人々が集まったものの、人出は少なかった。

 例年は、新鮮な魚の刺身と海藻と大根を和えた酢の物や魚の刺身で、神官は朝食を食べていたが、今年は接待はなかった。御崎柴に移された御神体は、ここで神輿の中に移され、神輿は車の荷台に載せて、太平洋沿岸沿いに郡集落を目指して神幸は始まった。

 大泊地区では、狭い旧道を神幸する。各家々では戸口で一行を出迎え、御神酒を奉納して鉾にくくりつけた旗を頭に触れさせ、一年間の健康を願う。

 各地区の旅所では、地区の人々がたくさんのご馳走で、御崎神社一行を迎えていた。
 神様の一行は旅所で地区のお祓いを行い、地区の安全と健康祈願を行った。

 坂元地区の幅の狭い急坂を下る所が圧巻で、ここだけは昔ながらに若者が神輿を担いで急坂を下った。

 この日の最後は郡地区で、旧郡小学校入り口まで神幸したが、姉神を探し出すことはできず、校庭横の大木を仮宿として、一夜を過ごした。

 2日目は近津宮神社まで神幸し、御崎神社の妹神様は近津宮神社の姉神様に再会できた。神社境内では、豊作祈願の祈年祭があった。

 3日目は、妹神は近くの山から御崎神社に空を飛んでお帰りになった。人口の減少で、御崎祭りの規模は小さくなったが、3日間厳格に祭りは行われた。

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