2023年10月24日 22時33分

《伝統 》

来年は豊年満作と占う~流鏑馬

肝付町

4年ぶり四十九所神社に流鏑馬奉納

900年以上の伝統を誇る肝付町新富の四十九所神社の流鏑馬(やぶさめ)が22日、同神社前の宮之馬場で開催された。

写真=見事に完走し8本の矢を的に的中させた中村考晴射手

作物の吉凶を占う特殊神事

新型コロナウイルス感染症予防のため、昨年まで無観客として開催されたが、4年ぶりに通常通りに開催され、特殊神事の鏑流馬奉納があり、やぶさめ祭が開催された。

写真=凛々しく化粧する中村射手

 流鏑馬は四十九所神社前にある宮之馬場で、若武者が疾走する馬上から60㎝角の3本の的をめがけて次々に鏑矢を9本放ち、来年の作物の吉凶を占う特殊神事。

毎年10月19日に行われていたが、近年は10月第3日曜日に開催されるが、今年はかごしま国体が開催されたため、1週間遅れて開催された。

 射手は毎年変わり、今年の射手は同町新富の高山中学校2年生の中村考晴さん。

考晴さんは、同町新富に父の中村洋史さんと母の美奈子さんと、高校2年生のお姉さん、小学6年生の弟と5人家族で住んでいる。

昨年の流鏑馬射手「吉永」さんの姿を見て、その時から射手になろうと思った。両親は本人が射手になりたいと思うなら、親も決めないと考えた。

 安全祈願祭と練習始めが10月1日、旧国鉄鉄道敷き練習用馬場で実施された。馬場と道具などの清め祓いがあり、大田四十九所神社宮司が安全祈願の祝詞奏上し、射手などが玉串奉奠して、安全を祈願した。

 全員が御神酒で清め、いよいよ中村考晴射手と昨年の射手吉永昊志朗射手が神馬に跨がった。

写真=久ぷりにパレードする流鏑馬の一行

少年は「神」になった

 神馬は昨年熊本県から購入した「はやて」号(5歳馬)がいるが、もう一頭の馬が必要だ。霧島市の鹿児島神宮初午祭に一番馬として奉納する、「レイ」号(4歳馬)が流鏑馬の応援に駆け付けた。レイ号は初午祭で、首に鈴を付けて、踊り連を引き連れてマンボウのような踊りを奉納する馬。

 練習は順調に進み19日に、四十九所神社の馬場で最後の練習を終えた。

 10月20日は神社から東串良町の柏原海岸まで馬上に跨がり徒歩で神幸し、海水で身を清める「潮かけ」の儀式が行われた。
本番前の深夜、高山川でさらに身を清めて流鏑馬に臨んだ。

写真=にぎわった河川敷イベント広場

 流鏑馬パレードが終わると、四十九所神社で「弓受けの儀」があり、神殿に保存されている特別の弓を授かり、その時に少年は「神」になった。

 少年は鮮やかな紫の狩衣姿で、頭上には綾藺笠(あやいがさ)を戴き、午後2時過ぎに鏑流馬奉納する四十九所神社前の宮の馬場に、神馬「はやて」号に跨がって姿を現した。

 神社前広場を右へ3回廻り、花吹雪を舞い散らしながら、約330メートルの馬場を疾走し、矢は放さない試しの「空走り」を行った。

 いよいよ本番で、第1走では再び花吹雪が舞い、さらに軍扇が投げて疾走した。

写真=草刈り機の歯などの競り売り

 4年ぶりの通常開催で、会場周辺と高山川河川敷広場で「流鏑馬祭」が開催され、たくさんの出店が出てにぎわった。

河川敷イベント広場では、グランドゴルフとカーリングを取り混ぜた新しいスポーツ「やぶさめ祭りグラントカーリング」があった。

 漁協は内之浦フィッシャーマンズブースを設け、定置網でとれる活魚の展示とサメの唐揚げを500人に振る舞った。観光協会は、えっがね(伊勢エビ)味噌汁の無料配布を行った。丸太切りに挑戦や米の重量当てなどがあった。

 鹿屋市笠之原の女性は孫を2人連れて訪れ、「抽選で牛肉と辺塚ダイダイのミカンが当選した。駐車場が遠く、こんなにたくさんどうしよう」と言っていた。

写真=大船渡から届いた新鮮なサンマが炭火焼きされた

 ステージでは「帰ってきた大隅戦士ハヤブサキング」、「ひょっとこ踊り」、「英明ステージショー」などがあった。

 消防東部分団詰め所広場に小祭り会ステージが設けられ、バナナのたたき売りや草刈り機の歯などの競り売りがあった。
 4年ぶりに岩手県大船渡市から届いた鮮さんまを、岩手県から届いた木炭を使い、公認サンマ焼き師が目の前で炭火焼きした。サンマは1匹300円で販売され、収益は東日本大震災の復興支援にあてられる。

 午後3時から祭りの締めくくりとしてヤッサンおどりがあり、市街地の道路を文化協会などの踊り連が踊り、4年ぶりの賑わった。

写真=草刈り機の歯などの競り売り

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