2024年08月31日 18時11分

《雑草 》

晩年も素敵な風貌で私達を魅了して~アランドロン

 アランドロンの訃報を南日本新聞で知った。
 彼の美学は、神の思し召しに従いますと芸能レポータが尋ねた時にときに、彼はにっこり笑いながら、神が与えたてくれた命に正直に生きたいですねと答えた。

 青年の様に心身共に皆から若いですねと言われるうちに召されれば良いのだが、と答えてくれたのが印象に残っている。
 彼は顔の皴を隠さず年輪を重ねたその時の姿を魅力に変えて私達に会釈する姿が、やはり彼は私達に永遠のフランスをこよなく愛した大スターであったと心に刻みつけた。

 彼は青春時代高校を卒業すると家庭の両親の不和から逃れ、海軍に入隊し3年間過ごし人間的に成長し、繁華街で人生を如何様に生きるかを模索したのだろう。彼の美貌と海軍で鍛えられた青年を芸能界のスカウトが見逃さなかった。

 「太陽がいっぱい」(1950)ヌネ・クレマン監督の映画で脚光を浴び映画界に鮮烈な脚光を浴びる。
 裕福な身の男に嫉妬し自分も成り上がろうとする野心を、湧き上がる青年の表情を微塵に表情に出さず何気なく隠し鍛えた身体と美貌は、太陽の光が降り注ぐ映像の中に憂いのある表情をのぞかせる場面を好演する魅力は圧巻であった。

 「若ものすべて」で、ヌキノビスコンティ監督「太陽はひとりぼっち}ミケランジェロ・アントニオーニ監督と言った力のある名監督の人々に引き立てられて、世界的に有名に若手俳優とのし上がっていった。

「冒険者たち」も私の心を掴んで離さなかった

 歳を重ねるごとにそれ相応に輝きと熟練の輝きを見せ、数多い出演のなから「サムライ」の役柄の殺し屋役で裏社会に生きるニヒルなトレンチコート姿に斜めにハットをかぶった、哀愁を漂わせる何とも云えぬ姿で観衆を虜にした。

 彼の後ろ姿の孤独さを漂わせる渋い味合いを醸し出す役柄が凄く似合って、どんな役柄でもこなす俳優に成長していった。
 彼の澄んだ瞳で見つめる所作はその役柄がなせるのであって、2枚目俳優から中年熟年を演じる俳優に成長している。

 彼の魅力を再現しようと真似る人も多かったしテレビのコマシャルでも人気を博し彼の仕草とセリフを多くの人はかっこを付けて人も多く親日家でも知られ、当時はアラン・ドロンブームで持ちきりだった。

 何といってもフランス・イタリアの合弁作品「冒険者たち」(監督ロベール・アンリコ)が私の心を掴んで離さなかった。
 共演のリノ・バンチェラに女優のジョアンナ・シムカスの三人が醸し出す、何とも言えぬ友情が映像を引き立たせた。
 パリの大空と煌めくアフリカの海底に眠る財宝を、3人の愛を微妙に絡み合わせたロマンス溢れた青春のレクイエム、リノ・バッチェラの大物役者の醸し出す雰囲気に比し、アラン・ドロンは小さく見えてもそれなりの魅力を若者らしく、リノ・バチェラの所作を我が身の財産にしてしまう彼は流石である。

美しい映像と音楽が憎らしいほど素敵

 青春時代に海軍で鍛えた均整の取れた身体で泳ぐ姿と要塞島に潜る姿は見事である。 
 アラン・ドロンはパイロットで凱旋門を仲間に煽てられ、凱旋門をくぐり当局より免許停止の処分を受ける。
 リノ・バンチェラはレーシングカーのエンジニアを開発して一人り取り組む、仕上がった車で試運転中にミスをして没にしてしまう。
 ジョアンナ・シムカスは駆け出しの芸術家を目指して展示会を開くが失敗し、三人は意気消沈するが、リノ・バンチェラの工房で知り合った三人は、コンゴ紛争の際に戦争で輸送中の飛行機が国外脱出を図り墜落して海底に沈む財宝の話を聞きつけ、三人は苦労して発見し要塞島の廃墟に運ぶ。

 ノランソ・ワ・ルーベの美しい旋律をバックにパリとコンゴの美しい海を踊台にした、男2人女1人の恋模様と海に沈む財宝を巡るアバンチュウル・ロマンの設定もこの作品を引き立て、恐らく歴史上の有名な廃墟の城壁(砦)が紺碧の海に浮かぶ様が美しく、夢に破れ共有の愛を探し愛を模索する姿が、美しい映像と音楽が憎らしいほど素敵で胸を搔むしられる様な見事さである。

 三人の海底探索を伺っている集団が三人を見付け、この要塞島の何処かに隠していると見たか後をつけて横取りを狙う連中との戦いになる。海底に眠る財宝を探す者には必ず掠めようとするもがいる事は聴いているが、ダイナマイトや武器を持った連中との戦いになり結果として財宝を彼女は守り、財宝を狙う連中彼女を狙い財宝を手中にする計画だった。

印象に残るのは「さらば友よ」である

 彼女は必死に財宝を守り私達の夢をかなえる財宝を易々とわたせられぬとするが、連中は武器を持っているしプロである。
 バンチェラとドロンは彼女を救おうとするが、自分達の夢を果たす為に最終的にその財宝を渡さず財宝と共に、瓦礫の中に身を委ね夢と共にまた海底に沈みジョアンナは死ぬのである。

 バンチェラとドロンはフランソワ・ド・ルーベが作曲したシムカス扮するヒロインの名を与えられレ「ディシア」は随所に流れる。

 夢に破れ共有の愛を探して旅立つ映像と音楽が素晴らしい。この映画の原作の第2部が「生き残った者の掟として映画化されたが1部作のイメージが崩れるので見なかった。

 アラン・ドロンの映画は60本以上あるが印象に残るのは「さらば友よ」である。
 彼はハリウッドに進出したがハッピー・エンドが肌に合わず、フランスで観衆に爾後を任すのが肌に合ったのだろう。
 晩年も素敵な風貌で私達を魅了して「さらば友よ」あなたの残影は何時までも心に残っている。ジャン・ギャバンとジャンポール・ベルモントと共に。(岩重20240831)

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