2023年12月03日 07時43分

《宇宙 》

先進的宇宙工学技術実証実験ロケット内之浦から打上成功

観測ロケットS-520-33号機

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、令和5年12月2日(土)「先進的宇宙工学技術の実証実験」を目的とした観測ロケットS-520-33号機を肝付町内之浦の「内之浦宇宙空間観測所」から打ち上げた。

 ロケットは正常に飛翔し、内之浦南東海上に落下し、打上は成功した。

写真=S-520-33号機打上01

 今後、搭載した実験装置が取得したデータについて確認し、評価を行う。

 打上時間は12月2日午後4時、打上上下角は79度、最高到達高度は打ち上279秒後304km、内之浦から350km沖合に着水した。回収船が現地に向かっており、翌日の3日早朝に回収予定。

 打上時の天候は晴れ、南南西の風1.5m、気温12.5度だった。

写真=S-520-33号機打上 宮原見学場

 午後6時過ぎに打上報告の記者会見があり、羽生宏人観測ロケット実験グループ長と三田信宇宙科学研究所准教授の2人が記者説明した。

1、インフレータブル型データ回収システム
実験内容は、超小型の火星着陸探査機や,小型衛星の地球低軌道からの帰還機への適用に向けた「大型のインフレータブル展開型エアロシェルの実証試験」。
 飛行中のインフレータプル展開型エアロシェルの飛行中の展開は成功した。現在、回収作業を進めている。

2、インフレータブル伸展プラットフォーム実証実験
 インフレータブルな(気体の圧力で膨張し、長さ、表面積、体積が変化する)構造内容部材を使い、観測ロケット用の伸展プラットフォームを構築する実証実験。
 意図通り直線状に伸展した。

3、PIデータ収集装置
 機上のデータの取扱いを簡便にし、効率良くデータを送るためのシステム(PDC)を構築し、各種センサからのデータ収集・伝送実験を行う。
 有線と無線によるセンサーデータ等の取得と地上での再生、有線と無線による画像の取得と地上での再生、など予定していた実験すべて成功し、目的通りの機能をすべて実証できた。

4、観測ロケット?航法センサ
 ロケットの??中の位置、速度を計測する航法センサと、?律??安全管制の計算ソフトウエアの機能性能を実証確認する。
 航法センサによるロケットの位置速度の計測結果を取得でき、自律飛行安全管制の計算ソフトウェアはほぼ計画通り動作したことを確認した。

写真=記者会見

 三田信氏は「打上を控えて心安まらなかったが、写真が送られてきて感動した。実験は事故や怪我がなく、ホットしている」と、羽生宏人氏は「気候が心配される時期だが、計画通りに飛翔して良かった。4つの実験データが取得でき、ホットしている」と話した。

写真=伸展プラットホームから撮影したロケットと地球 JAXA提供

 昨年観測ロケットS-520-32号機を打上、今年は33号機を打ち上げた。

 当初は11月24日に打ち上げる予定だったが、準備が整わず、12月1日に打上は延期になった。しかし、1日は風が強く海上がシケの予報で、2日に打上は再度変更になった。
 宮原一般見学場には家族連れなど約400人が詰めかけた。

 鹿児島市からバイクのツーリングで来た5人は「始めて来ました、打上を楽しみにしています」と。
 志布志市の竹山英輔さん(39)は家族4人で訪れ「打上はいつも見学場の抽選漏れで家の庭から見ていた。今回は抽選なく入場でき、近くから見られるために楽しみです。」と話した。

写真=分離直後の衛星とロケット JAXA提供

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