2024年02月06日 12時36分

《教育・社会 》

鹿屋農高鹿児島黒牛研究部の和牛甲子園日本一讃える

地元JAが大会出品牛肉と横断幕を寄贈

 令和6年1月18日~19日に東京都港区で行われた第7回和牛甲子園総合評価部門で最優秀賞を受賞した鹿屋農高鹿児島黒牛研究部に対して、JA鹿児島きもつきとJA肝付吾平町から2月6日、同校校長室で大会出品牛の鹿児島和牛A5ランクの肉と横断幕が贈られ、日本一の快挙を讃えた。

写真=横断幕と肉を手に日本一祝う

 和牛甲子園は、和牛を飼育する全国の農業高校の生徒、高校球児ならぬ“高校牛児”たちの大会。飼育に関する日頃の取り組み内容と、育てた和牛の肉質を競う大会で、4年ぶりに完全実開催(すべての高校が実出場)。

 同大会は、過去最多となる25道府県41校が出場し(うち初出場2校)、出品牛は59頭となり、県立鹿屋農業高等学校が、総合評価部門の最優秀賞と審査委員特別賞、枝肉評価部門最優秀賞に輝いたもの。

写真=下小野田組合長から大会出品牛の肉を

 鹿屋農業高等学校畜産課肉用牛専攻班・鹿児島黒牛研究部の部員は次の通り(敬称略・かっこ内は出身中)。
 2年生
 浦崎聖斗(大崎中)、門原真央(根占中)、長嶺葉月(第一鹿屋中)、森元陽哉(横川中)、山口蒼真(菱刈中)、谷山遠和(牧之原中)
 1年生
 林田翔希(東串良中)、勝野真菜(高山中)。

写真=畠添組合長から横断幕を

 同部は大会で、「地域資源の活用で和牛の魅力を未来へつなぐ~竹の利用で継続できる経営へ~」と題し次の要旨発表を行った。

 和牛70頭の一貫経営、繁殖経営では、種付け、分娩、8~9ヵ月の哺乳・育成期間、優良血統の♀は自家保留。

 肥育期間約20ヵ月の肥育経営では、消費者の求める優れた肉質の肥育牛生産を目標に、駆虫、削蹄を繰り返し体調ケア、肝臓ケアのために「甘草」を継続して投与、状態を見てビタミンA,D₃,Eを投与し出荷。

 昨今の生産資材の供給不安や飼料価格高騰のダメージがあり、和牛経営に大きな不安、不安の長期化から子牛価格の下落が続いていることから、国内資源に目を向け、生産コスト削減を目指した地域未利用資源の活用にチャレンジ。

 それは、鹿児島県が竹林面積全国1位ということに着眼。 
 地域のどこにでもある竹は生長が早く、地下茎を伸ばして広範囲に拡大していく地域未利用資源の活用で自給率を高め安心・安全な和牛生産のため、畜産の生産資材(粗飼料・敷料等)としての利用で問題解決。

 荒廃地解消と畜産資材の一石二鳥で地域の宝にし、粗飼料の代替、校内や地域の竹をパウダー状に加工して給与実験。

 加工後すぐの竹粉は風味も良く、良く食べる牛が多いが、数日すると色が変わり匂いもキツくなることから水分調整や発酵状態について研究、笹サイレージ給与を続け,改善方法を探求。

 敷料、切り返しを行い戻し堆肥へ循環させることで、前年よりさらに10%Upの80%コスト削減、年間約71万円分。子牛の毛艶も良く治療回数も減少した実績。

 また、肉のうまさと脂肪の質向上として、植物由来の不飽和脂肪酸であるオメガ3脂肪酸を含む添加飼料を継続給与するなどし、稲ワラと比べ嗜好性抜群、健康状態良好という結果となった。

 新規チャレンジとしては、枝肉成績のデータ収集と受精卵移植の活用よる高能力な牛群作り、飼養繁殖牛の血統、1代祖の血統構成を基本情報としてデータ化、増体系と資質系牛の能力を十分に引き出す飼育管理を行い、管理方法を振り返り改善を行った。

 肥育前期では、単味飼料を本校に昔から伝わる独自の割合で混ぜた前期用・おやつ飼料を給餌するなど飼料へこだわり。
 肥育中期から肥育後期にかけ、実習でエサを混合、ステージで餌給与、適切な飼養管理、ストレスフリーなど和牛の未来へ向けて「竹の資源化モデル」に取り組み次の一歩、この取組が地域を巻き込み和牛の未来へつながる…とPR。

 大きな夢、それは、いつか地域にある資源だけで肥育牛を育て,鹿屋100%の和牛肉を作って食べたい!
 そして、地元企業との「未来の農業人育成プロジェクト」、学校産牛肉の地域子ども食堂への提供,海外輸出勉強会,枝肉共例会出品なども2年目となり、愛情満載「鹿児島黒牛」、和牛肥育への情熱は100%!…など訴えた。

 この日は、JA鹿児島きもつきの下小野田寛代表理事組合長があいさつし、A5ランクの鹿児島黒牛を贈呈。
 JA肝付吾平町の畠添洋平代表理事組合長が横断幕を手渡した。

 門原さんは「最初は頭が真っ白で、何を言われたのか分からなかったけれど、周りからおめでとうと言われてやっと実感が湧いてきました。
 未利用資源を使ったところなどが評価されたと思います。枝肉ではA5の12が取れたところがよかった。
 今後は、和牛甲子園と枝肉で最優秀をいただいたので、それを続けていきたいし、後輩たちにも引き継いでいってほしい。育成も力を入れて頑張っていきたい」など喜びと抱負を語っていた。

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