2025年06月28日 16時18分
《大隅点描 》
南限のクマガワブドウ~環境省の絶滅危惧1A
一般に野生種のブドウは、エビヅル、サンカクヅルが知られる。
戦後までは、エビヅルは丘陵や里山にごく普通に生えていた。
ブドウ色に熟した実は「ガネ」と方言され、夏休みの子どもらに人気でよく食されていた。
ガネの方言は葉の形が川に棲むモズクガニ(ヤマタロガニ)の甲殻に似ていることから名付けられている。
現在はその給料や里山も消え、エビヅルも少なく山麓で見かけるのみである。

そのエビヅルに混じって河川山林に生育するのが、クマガワブドウで、九州南部の熊本、宮崎、鹿児島両県に生育する。
しかし個体は少なく生育地も限られており環境省の絶滅危惧1Aにランクされている。
そのクマガブドウを大隅中部の鹿屋市で発見した。
写真に見るように葉はエビヅルより大きく、背景のコサン竹の葉より大きいのが分かる。
葉身は5角状長卵形で先は三角状にとがり角状心形で葉の表面はツルツルした美しい緑色であるが、縁に沿って葉面に細歯牙が浮くように生え、葉裏は白くクモ毛で覆われて特徴的である。
クマガワブドウの実質的南限は大隅中部となる。
大隅の自然、歴史研究
坂元二三夫