2024年10月27日 15時47分

《おおすみ雑記 》

私たちはその自然の摂理の中で生かされている

 2年前、堤未果さんの「ルポ 食が壊れる」私たちは何を食べされられるのか?という本が出され、以前から遺伝子組み換え食品や、農産物の種を蒔いてもきちんと育たず、種会社からずっと種を買い続けないといけないF1など種について疑問を持っていたときだったので、さらっと目を通した。

 その本では、「はじめに」というページで、米映画「ソイレント・グリーン」を観たことがあるだろうか…というセンテンスから始まる。
 1973年の映画で、観たことはあった…。

 ストーリーは、2022年のニューヨーク、激増する人口増で、一部の特権階級と多くの貧民という格差の激しい社会となり、肉や野菜といった本物の食料品は宝石以上に希少で高価。
 特権階級を除くほとんどの人間は、ソイレント社が海のプランクトンから作られているという合成食品の配給を受けて、細々と生き延びていたが、しかし実態は、増え続けている人間の死体からソイレント・グリーンが生産されている事実を突き止める…という恐ろしいもの。

 映画で想定されているその年に書かれた本。
 果たしてそれがフィクションなのか、実は今、私たちの住む世界でも、静かに〈食〉のリセットが進んでいる…と伝えている。
 またこれも恐ろしい。

 また、その翌年のNHKスペシャル混迷の世紀だったか、食のことも触れられ、ロシアの戦争のことも含め重大な食糧危機の入り口にあるとして、本当に真面目に、昆虫食を奨めていた。
 地方に住んでいる私たちは、目の前に田畑があるので、そこまでしなくても…と思ったが、都会に住む人たちにとっては、あり得ることなのだろうか。

 「ルポ 食が壊れる」にもどる。
 2020年には、私たちのこの地球上の食のグレートリセット、世界中の億万長者、ビルゲイツやアマゾン、グーグル、穀物のカーギル、種子のシンジェンタなどなどが集まり、人が肉食をやめて、AIが制御するデジタル農業を進め、遺伝子操作やバイオ技術で肉、野菜、必要な栄養素を最新テクノロジーで作る新たなシステムを作り出そうとしてる。
 食と農を支配していくということなのだろう。

 これこそ、人間の死体ではないが、多くの人たちが合成食品の配給を受けて…という世界を本当にイメージさせる。

地球上の食のグレートリセットという新たなシステム…

 今、食に関していろいろ調べてみても、代替タンパク質、ミートレス、代替肉、代替乳製品、昆虫食という言葉が飛び交い、そこに大企業が大きな投資を始めている。

 特に昆虫食のタンパク質含有率は牛肉や鶏肉よりも高く、コオロギは家畜ほど多くの餌がいらないため、生産効率も高く環境に優しいタンパク源として成長しているという。

 それはそれでありかなとは思うが、ただ食と農に対して、その根底となるもの、果たしてそうした発想で本当に地球や人類が救えるのか、私たちのカラダにとっても、地球環境にとっても優しいのか。

 グレートリセットというが、本当にそのリセットの仕方で私たちは幸せになっていくのだろうか。そうした疑問が沸々と湧いてくる。

 というのも、品種改良された種子と農薬や化学肥料を使った農業が、収量を劇的に拡大し、世界の食糧事情を塗り替え人々を救った…とされてきている。

 しかしどうだろう、現実は土・畑を豊かにするはずの土壌微生物の死滅、田んぼや畑にいる虫、川を泳ぐ生き物、魚など、私たちの小さい頃には見掛けていたゲンゴロウやタガメ、ドジョウやナマズなどがいなくなり、その生態系の豊かさを失くし、生態系を破壊してきた。

 それでも永続的に農薬や化学肥料を使い、環境を破壊し続けてきた近代農業。
 農や食のシステムを変えていくというのなら、まずは、そこからだということを今、かなりの人たちは気付いている。

身近な私たちの生活の中で

 先日は、4~5年ぶりに同級生から電話が掛かってきて、吞もうと自宅に呼ばれ話が弾んだ。その時出された野菜は、広い菜園で無農薬で栽培、それまで買っていた野菜では、口内炎や肌にぶつぶつができていたが、今は一切ないという。

 そんな家庭もだが、そういうことを実践し理解している小規模な農家も増えてきている。

 なので、そうした声聞きながら、リセットするならそこだと本当は分かっているはずだが、身動きが取れない社会。
 それどころか、人工肉で地球の危機を救うという。そこに莫大な資金をかけて。

 その見返りは、食べる側に押しかぶさってくる。技術革新という名の下で。

34億年この地球を守ってきた植物と30万年の人類と

 地球は46億年前に誕生し、植物は34億年、絶滅したが恐竜は1億6千万年栄え、人間の歴史はたかだか20~30万年で人の800倍栄えてた。

 そして陸上生物の総重量は470ギガ㌧、人間、動物や昆虫、微生物を合わせても重さはわずかその4・5%、残りは植物だという。氷河期など様々な気候変動も乗り越えて生き残ってきた地球の主役、植物。

 それでいて今、人類は地球の支配者のような顔をして、地球環境を破壊し続けていて、さらに他の動植物の遺伝子を操作して作るような肉と野菜、私たちのカラダまで支配しようとするのか…、というより私たちの命のもと、そのものが支配されようとしているのか、大資本に。

 それでもいいという人もいらっしゃるとは思うが、それがノーという人たちもいる。

 それは、私たちの住む地球、ギラギラと輝く太陽に照らされ、きれいな水や空気があり、そうした地球のシステムに生かされ34億年育ってきた95%もの植物。
 きれいごとではなく、私たちはその自然の摂理の中で生かされている。
 最近は、その陸の王者、植物が驚くべき能力を持っていることも発見されたという。それこそ人間の英知を超えるような…。
 技術の進化もとても大事なことだが、危機といわれることに対して、人間の英知、人の作ったシステムに頼る部分と、34億年この地球を守ってきた能力、言わば地球そのものの命と、私は後者のほうを信じ、自分の命を預けたい。(米永20241027)

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