2024年04月22日 12時07分

《事件・事故 》

志布志市ふるさと納税返礼品の産地・品種等で不適正表示

 志布志市は、同市ふるさと納税における返礼品の一部に、産地及び品種等について不適正な表示があったことが、同市の内部調査によって分かり、令和6年4月22日、同市庁舎内で、「寄附者や消費者、関係者に多大な迷惑と心配を掛けた」として、下平晴行市長らがお詫びの会見を行った。

 これは、志布志市のふるさと納税返礼品の提供事業者である「株式会社蓬の郷」が、返礼品の一部を、市独自の調達基準を満たさない宮崎県の事業者である「谷川食品(都城市高崎町縄瀬1676)」から調達しており、その「谷川食品」が、産地及び品種を偽って納品していたことが判明したもの。

 また、株式会社蓬の郷は「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(牛トレーサビリティー法」に基づく、牛の個体識別番号の表示及び帳簿による管理を怠っていたことも判明した。

写真=お詫びを行う志布志市の下平市長㊨と大迫秀治港湾商工課長

 これらは、都城市で昨年末、同市が契約していたふるさと納税返礼品の提供事業者(株式会社ヒムカ食品)による返礼品の不適正表示が明らかになったことで、総務省から志布志市に対しても調査を行うよう通知があり、志布志市の内部調査により、蓬の郷を通して谷川食品による不適正な表示とトレーサビリティー管理を怠っていたことが判明、記者会見となった。

 不適正表示による返礼品寄附者数は、501名で、送付件数は563件、発送した期間は、平成29年5月17日から令和6年1月27日までで、その総額は2434万7千円。うなぎをメインとし、すべて黒豚がついて、一部黒毛和牛がついている返礼品。

 同市では、不適正表示があった返礼品を送った可能性のある全ての寄附者に対して、送付した返礼品のうち、産地及び品種に不適正表示のあった商品に係る代替品及びお詫びの品を届け、また、株式会社蓬の郷が出品する全ての返礼品の受付を停止。再発防止及び信頼回復に向けた取り組みを進めているという。

 事案の概要は次の通り。
 1 不適正表示があった返礼品
(1)返礼品数 31点
 ・ 絶品★極上カットうなぎ×黒豚しゃぶ肉
 ・ 鹿児島自慢3点セットうなぎ・黒毛和牛サーロインステーキ・黒豚肩ロース
 ・ 鹿児島自慢3点セットうなぎ・黒毛和牛しゃぶ肉・黒豚しゃぶ肉
 ・ 他、別添資料1「不適正表示のあった返礼品一覧表」のとおり。

(2)発送した期間  平成29年5月17日 から 令和6年1月27日 まで
(3)寄附者数 501名
(4)送付件数 563件

2 不適正表示の内容
 (1)鹿児島県産黒豚の産地及び品種についての不適正表示
 (合計件数 563件、総重量324.14kg)
 ①平成29年5月17日 から 令和元年5月15日 までの発送分
 ・表示:他県のブランド豚を「鹿児島県産黒豚」として発送。
 ・件数:209件
 ・重量:1 3 9.84kg
 ②令和元年6月8日 から 令和4年4月11日 までの発送分
 ・表示:他県産黒豚を「鹿児島県産黒豚」として発送。
 ・件数:214件
 ・重量:111.34kg
 ③令和4年6月3日 から 令和6年1月27日 までの発送分
 ・表示:他県のブランド豚を「鹿児島県産黒豚」として発送。
 ・件数:140件
 ・重量:7 2.96kg
(2)鹿児島県産黒毛和牛の産地及び品種についての不適正表示
 ①平成31年4月12日 から 令和6年1月27日 までの発送分
 ・表示:他県産黒毛和牛を「鹿児島県産黒毛和牛」として発送。
 ・件数:229件
 ・重量:114.5kg
(3)牛トレーサビリティ法に基づく牛の個体識別番号の不適正表示
 ①平成30年4月20日 ~ 令和6年1月27日
 ・表示:牛の個体識別番号を表示せず発送。
 ・件数:273件  ※(2)の①の件数も含む
 ・重量:1 3 6.5kg ※(2)の①の重量も含む

※鹿児島県産黒毛和牛は、全て鹿児島県産黒豚と組み合わせた返礼品となっているため、件数は(1)鹿児島県産黒豚(合計563件)に含まれる。

3 不適正表示判明等の経緯
(1)経緯
 ①令和6年2月
 ・総務省通知の、令和5年12月27日付け総税市第119号「ふるさと納税の返礼品として提供される食品の表示に係る関係法令遵守について」に基づく内部調査開始。
 ②令和6年3月19日
 ・株式会社蓬の郷の牛・豚肉の仕入れ先、産地及び品種について疑義を確認。
 ・市の調達基準を満たさない宮崎県の谷川食品から仕入れていることが判明。 
 ③令和6年3月28日
 ・株式会社蓬の郷から、仕入先の谷川食品が、産地及び品種を偽って納品した疑いがあることの報告を受ける。(株式会社蓬の郷による谷川食品への卸先に対する直接確認及び谷川食品の供述による。)
 ・庁内に危機対応チームを編成。
 ④令和6年4月4日
 ・谷川食品の供述や、取り寄せた関係書類の確認により、谷川食品が産地及び品種を偽って納品していたことが概ね確定したため、国の関係機関へ通報。
 ・志布志市ふるさと納税における返礼品の不適正表示について、県の関係機関への第一報。
 ⑤令和6年4月19日
 ・株式会社蓬の郷からの調査報告書の提出をもって、志布志市ふるさと納税における返礼品の不適正表示に関する被害及び対応等を市として確定。
 ⑥令和6年4月19日
 ・市の独自調査が確定したことから、志布志市ふるさと納税における返礼品の不適正表示について、総務省へ報告書を提出。

4 当該事案に関する産地確認のための調査
  (1)調査主体  株式会社蓬の郷
  (2)調査方法
  ①谷川食品による供述
  ②供述を裏付ける為の、谷川食品への立入りによる関係書類の確認及びその仕入先への直接聴合取り。
  ③既に谷川食品から株式会社蓬の郷に納品されていた在庫及び抜き打ちによって回収した商品の、専門機関による産地等の分析。

5 該当する寄附者様への対応
  不適正表示があった返礼品を送った可能性のある全ての寄附者の皆様に対して送付した返礼品のうち、産地及び品種に不適正表示のあった商品に係る代替品及びお詫びの品をお届けします。


6 株式会社蓬の郷への処分
 (1)令和6年3月19日 関連する返礼品の受付を停止。
 (2)令和6年3月29日 株式会社蓬の郷が出品する全ての返礼品の受付を停止。
 (3)令和6年4月 1日 令和6年度返礼品提供事業者としての登録を保留。
 (4)令和6年4月 4日 令和6年度返礼品提供事業者として契約しないことを決定。

7 再発防止及び信頼回復に向けた取り組み
  今回の事案は、安全・安心な食の提供体制を守っていく為、生産者との信用によって成り立っていた取引を、根底から見直さなければならない重大な事案であると受け止めています。
  再発防止の取り組みは当然の事として、全国の寄附者並びに消費者の皆様からの信頼を取り戻すとともに、本市特産品の更なる魅力向上と安全・安心な特産品のブランドカ向上を図っていくために、以下の取り組みを実施してまいります。

 (1)再発防止に向けた取り組み
  ・返礼品提供事業者に対して、総務省通知(令和5年12月27日付け総税市第119号「ふるさと納税の返礼品として提供される食品の表示に係る関係法令遵守について」)に基づいて、抑止力として契約書に追加した損害賠償規定及び地場産品等の審査基準に関して、事業者訪問や研修会等を通じて周知の徹底を図ります。

(令和6年度契約書に新たに盛り込んだ内容)
 ※事業者が、本市の調査・確認に応じる義務及び地場産品基準や食品表示法において遵守すべき事項が記載された書類の整備・保存の義務に係る規定。
 ※事業者が食品表示法の違反を行った場合の取引中止等の対応に係る規定や契約不履行時の違約金及び損害賠償に係る規定。
 ・事業者選定にあたっては、工場等への立入り確認や、過去のオンラインショップ等をぱじめとする各種取引実績を踏まえた審査を行います。
 ・仕入れ先の確認等を行う仕組みの構築並びに仕入れ先選定の在り方を見直します。
 ・抜き打ちによる産地等判別のための専門機関を活用した検査を実施します。

 (2)信頼回復に向けた取り組み
 ・今回の件に関する寄附者の皆様及び関係者の皆様への真摯な対応を心掛けます。
 ・ふるさと納税や市観光特産品協会で扱うオンラインショップ等の事業者選定にあたっては、HACCP方式の導入を段階的に必須にするなど、志布志市独自の食の安全を守るためのルールの厳格化を図るとともに、結果として事業者を切り捨てることの無いよう、研修の実施や体制づくりへの補助制度の創設を検討します。

 (3)安全・安心な食を守る、本市としての更なる取り組み
 ・特産品を突破口としたシティーセールス方針の推進や、サイバー攻撃による情報漏洩を受け、令和6年度から予算化していた観光特産品協会と連携した特産品開発推進事業を進めるにあたって、更に高いレベルでの安全・安心な商品づくりへの意識向上や関係者との信頼構築を図っていきます。
 ・牛、豚の生産者については、現状において飼料価格高騰や枝肉価格の低迷により、厳しい 経営状況が続いており、今回の事案による不安増大によって、経営意欲を損ねることが無いよう、不安払しょくに努め、肉の消費拡大を推進します。

 また、関連し志布志市蓬の郷ふれあい交流センターにおいて提供した料理の不適正表示についても報告を行い、お詫びを行った。

志布志市ふるさと納税返礼品一部の産地及び品種等不適正表示 志布志市のお詫び文等

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