2024年10月13日 16時54分

《行政 》

慣行農業と有機農業~食べる側からの提案も

 先日の党首討論を聞いていて思うのは、与野党ともに農業のことをもっと話題にしてほしい、そして衆院選でも農業のことがもっと争点になって欲しいと感じている。

写真=農水省HPから

 それは、これまで書いてきたキューバのような「とうもろこしや黒インゲン豆、サツマイモ、稲と飼料など同じ畑で輪作し、異なる作物をローテーションすることで、土壌中の養分のバランスを整え、化学肥料なしでも持続的な農業」が進められていること。

 パーマカルチャーでの「搾取したり汚染したりすることのない仕組み」。

 そして「食料に関しては、自由貿易という概念は成立しない」というような考え方。

 これらに加え、英国に代表されるような「アニマルウェルフェア」や、EUでの「サーキュラーエコノミー(循環経済)」、「生物多様性」などを考える「グリーンディール」政策。

 これは、2050年のカーボンニュートラル達成のため、農業では、化学農薬の使用を減らすこと、健康食品の選択肢を増やすこと、消費者が製品と持続可能な包装の健康評価を理解しやすくするなどの施策が進められようとしている。

もっと地域の中で議論を

 日本の農業は、現状としての高齢化、後継者不足などが指摘されている中で、オーガニックという言葉を口にすると、無農薬は絶対無理なんだ…というひとことで、話が次に繋がっていかないということもある。
 「みどりの食糧戦略」でも、地域の中でオーガニックにもっと理解があってもいい…と感じたりする。

 この地域の中で有機農業を…と言っても、それでは有機JAS認証を取っている農家が対象です…など形式的なところ、言い方は悪いが安易にスタートさせようとしているので実態にそぐわないなどいろいろなことがあり、新しい何かを進めようとしてもまだ腰が重たいと思う。

 要は、当の農家が一番分かっていると思うが、農薬や化学肥料、飼料、農機具等のコストが掛かり、収入はというと、値を自分で決められず市場原理にあるので、乱高下し、経営的に安定しない。
 例えば学校給食とかで一定の見込みがあればまだいいが、合理化の名のもとセンター方式に移行したところはそれも難しくなっている。

 小規模農家では、人を雇おうにも年間を通しての雇用が難しく、大規模化に向けた農地の集約も農地中間管理機構の実績では、全国で平成26年50・3%が、令和5年での10年間で60・4%と年に1%ほどのアップ。

 農家個別保証制度も、フランスでは農家収入の8割、スイスの山岳部では100%、アメリカの穀物農家の収入は5割前後が政府からの補助金だというが、日本の令和6年度農林水産関係予算2兆2686億円は、防衛費9兆3625億円に比べると余りにも少なすぎ、という声も聞いたりする。

 今現在の慣行農法と有機農業とについて、もっと地域の中で議論があってもいいと思うし、今は慣行農法に固執し農業に対する柔軟性がなく、それが後継者不足にも繋がっていると感じる。

国の食料安全保障強化に向けた新たな取組

 農水省は、今年3月に食料・農業・農村基本法の総合的な検証・見直しを行い、食料安全保障強化に向けた新たな取組を始めている。

 これらのことについて地域の中でもっと話題になってもいいと思うし、私たちの命そのものの食や農に対して、作る側だけでなく、食べる側としての私たちからももっと声を出していくべき…そんなふうにも感じる。

 少し話が飛ぶが、先に書いたようにイスラエルとハマスの戦いが、イランやシリア、レバノンにも飛び火し、ロシアとウクライナの戦争に、北朝鮮の兵士が派兵されるされないという報道が流れるなど、どんどん広がりが出てくると、様々な流通に支障が出てきて、私たちの食にも、食品の値上げなども含め食の安全保障的には、有事に近づいてきているのではないか。

 国は食料・農業・農村基本法の総合的な検証・見直しの中で、実際おきた供給不測の例など挙げ、国内において食料の入手に困る者が増大している…としている。
 だからこそ、ここを一つの機会、ターニングポイントとして、あるいは一つのチャンスとして捉え、農業の構造変換が必要なときなのか。

 くどいかもしれないが、私たち食べる側、国民としての責任もあるのではないかとも思う。国の動きとともに、自治体や個々人が、自分たちのこととして食を考え行動していくことが今は必要なのだろう。
 それは例えば、生態学的に健全で、経済的にも成り立つ農法だったりする。言うは易しかもしれないが、農業が主要産業である地域であればなおさら…。(米永20241013)

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