《大隅点描 》
雄川滝~虹が白いカーテン状で映え水面とで奇跡な光景
鹿児島県大隅半島に位置する南大隅町と錦江町に跨る雄川渓谷は、20年前に読売テレビで「日本のグランドキャニオン」として全国に生中継されたことがあった。
この雄川渓谷は約10万年前に両町沖合の錦江湾より地球規模で大噴火した阿多カルデラ起源の火砕流に運ばれ生成堆積した溶結凝灰岩により大地化した。
この厚みは最大約160メートルと推定される。面積的には当時海中にあった大隅中部と南薩を陸地化するほどの溶岩原となり膨大であった。
そんな溶岩原に侵食谷として現在の雄川渓谷が形成され雄川滝(落差46メートル)が生まれた。
この侵食谷の実際の深さは、約120メートルと、雄川滝の落差は100メートル前後と推定される。また初期の雄川滝は現在の雄川河口付近にあったものが、浸食の過程で現在地に移動したことが見て取れるが、雄川渓谷周辺からの土砂石や上流に位置する南大隅山地から運ばれた土砂石が渓谷に堆積するようになり、現在の落差に落ち着いたと推測できる。
写真に見るように雄川滝の滝つぼの水面のコバルトブルー色は、火山地帯の火山湖と同じ特徴を示している。火山堆積物である溶結凝灰岩には火山性の元素が多く含まれるため、地下水に触れたものがコバルトブルーとなって発生する。
この元素は滝つぼ下に見られる小滝に多く含まれているために見られる現象である。一方で本滝の水量の多い日は水質が濁りみられない。
またこの写真には虹が白いカーテン状となって映えコバルトブルーの水面とがおりなす奇跡な光景となる。この日は10人ほどが見学している中、大騒ぎとなりカメラ、スマホで撮っていた。
この光景には条件があり、8月に晴天日中で滝の水量が最小で強い風が吹くこと。見学場所が錦江町側の滝展望所であることの条件が重なった時に起きえる。強い風で滝の水滴が切となって流され、空中の水滴粒子に当たり光の屈折と分光によって生じる。
あたかも虹がシャワーとなって滝に見える現象。この雄川渓谷と広大な溶岩原は阿多カルデラ起源を知る上で学術的に様々な研究心を提供してくれ貴重である。雄川渓谷は5年前に国立公園に指定された。
大隅の自然、歴史研究
坂元二三夫