《四季の話題 》
今年も姫ホタルが華麗な舞を披露~鹿屋市鷹直神社
ホタルの群生地と知られる鹿屋市横山町の鷹直神社境内で、県内一早いヒメホタルの群舞が見られた。ピークは4月20日頃。

神社周辺では、ゲンジホタル、ヘイケホタル、ヒメホタルの3種のホタルが楽しめる。
今年のホタルは異常気象のせいか、昨年より2週間程度遅く、毎日華麗な舞が見られ、5月末頃まで見ることができそう。
鷹直神社は動物守護の神で、老いた猿が神の使いをすると伝えられ、神社の下には溜め池があり、大姶良地区の水田を潤している。
神社鎮座地はかのやバラ園麓にある「高野山」で、地区一帯は「霧島ヶ丘」と呼ばれている。火災で焼失前の神社は、霧島神宮と同等の神社といわれていた。
「横山町ホタルの会」はホタルの自然保護を行っている。

ゲンジホタルは1ヶ月でふ化し、水中に生息しているカワニナをエサとして食べる。
水中で脱皮し2~3㌢の大きさに成長し、4月になると光を放ちながら上陸する。
土中に潜み、3週間程度でさなぎになり、4週間目にさなぎからふ化し、飛び出して発光しながら、飛び回る。成長したらエサは食べず、水分だけで生活する。
メスは地上の木の葉などに潜み、オスは光を放ちながら飛び回って、メスを探す。群舞するホタルは互いに同調し、約2秒間隔で点滅をくり返す。
オスはメスにたどり着くと、交尾が始まり、終わったらオスは死ぬ。
ホタルの命は2~3週間と短い。
鷹直神社の昨年のホタルは例年より早く舞い始めたが、今年は2週間程度遅れて出始めた。ホタルの数は昨年より少なく、元気がなさそうで、光量も少なく思える。
神社境内には2ヘクタールの杉山があり、杉山に姫ホタルが生息している。4年前に杉山の間伐を行い、ホタルの数が減った。一昨年前には裏山の広い面積の杉林が伐採され、さらにホタルの数が減ったようだ。異常気象のせいかゲンジやヘイケホタルも、なぜか少ししか飛んでいない。

ヒメホタルは薩摩半島ではほとんど見かけず、鹿屋市の鷹直神社と同市祓川町の瀬戸山神社が生息地として知られており、県内外から見学者やカメラマンが多い。
鷹直神社境内には参拝者休憩用に、大きな傘と長椅子や折りたたみ椅子が設置されて準備した。
境内が暗くなる午後7時50分頃、「ゲンジホタル」と「ヘイケホタル」が、境内の池や小川から光を放ちながら飛んで出てくる。
すっかり暗くなる8時頃、境内周囲の森からヒメホタルが、優しく「ポッ ポッ ポッ」と光を点滅し、湧き出るように山から降りてくる。
優雅でやさしい光を放つため、お姫様のように見え「ヒメホタル」と呼んでいる。ヒメホタルは杉林や竹林の落ち葉に生息している。
9時頃になると、ホタルは一斉に森の中に帰って行く。
横山町内会と鷹直神社は、やさしく安心してホタル見学できるように臨時駐車場を設置し、見学道にロープを張り、竹灯籠に火を灯すなど工夫している。
優雅なホタル舞を撮影しようと、地元だけではなく遠くは東京や宮崎県、熊本県からカメラマンが訪れている。
掲載された写真は5月19日に撮影したヒメホタルで、例年より数が少なく、光量も少なく、小さなホタルだ。
神社関係者は「今年はホタルが見られるか心配していたが、無事に見ることができて安心しました」と話していた。