《行政 》
宮崎自道と志布志港が直通利用でき港経由の物流活性化
44㌔の無料の自動車専用道路「都城志布志道路」
都城市から志布志市までを結ぶ、全長およそ44㌔の無料の自動車専用道路「都城志布志道路」は、都城市の都城IC-乙房IC(5.7キロ)は2025年2月15日、志布志市の志布志IC-志布志港(3.2㌔)が同年3月23日にそれぞれ開通し、44㌔が全線開通。
2つの定住自立圏構想
開通効果の期待が高まっているが、都城市に近接し、経済的・社会的に密接な関係を持つ三股町、そして鹿児島県の曽於市、志布志市はそれぞれ協定を締結し「定住自立圏」を形成、3市1町による「定住自立圏共生ビジョン」が策定されている。
定住自立圏構想は、一定の都市機能を持った中心市と、それと近接し経済や文化等で密接な繋がりをもつ関係市町村が、集約とネットワークの考え方に基づき、互いに連携協力して、圏域全体の活性化を図る制度。
中心市である都城市は、圏域として必要な生活機能の確保に関して、中心的な役割を担うという意思を表明した「中心市宣言書」を作成、公表している。
この3市1町は、宮崎県と鹿児島県にまたがる面積約1443k㎡、人口約27万人を有する南九州の中核をなす圏域を形成。
40km圏内には、志布志港・油津港に加え、宮崎・鹿児島両空港があり交通の要衝として栄えてきたが、都城圏域の縦貫道路である地域高規格道路「都城志布志道路」の整備が進めば、さらなる緊密な結びつきを持った圏域となる。
さらに都城圏域の広域行政への取組を示し、歴史的繋がりや、 環霧島会議やサブシティ構想、霧島ジオパーク推進連絡協議会など新たな広域連携、医療機関利用、通勤通学の結びつき等、合併の推進まで視野に入れた広域行政への取組を示唆している。
都城志布志道路は、計画からおよそ30年、その間に定住自立圏構想が策定されてきた。
地域高規格道路「都城志布志道路」はこれまで、起点の都城と港に続く志布志の両側で未整備。
志布志ICから1.2㌔は自動車専用道路で、残りの大部分は現在の道路を4車線化。これまで52分かかる所要時間が、38分で行けるようになり14分短縮、その経済効果等が公表されている。
さらに都城IC-乙房ICには、国道10号との結節点に高木IC、国道221号との結節点におきみずICを設け、より利便性を図るという。
宮崎自動車道と志布志港が直通利用できるようになり、志布志港経由の物流活性化や急病人搬送時間の短縮、南海トラフ地震など災害時の支援ルート強化につながるとしている。
経済的整備効果としては
▽志布志港の物流機能が一体となって地域の経済活動が活性化、畜産業のさらなる振興、輸出拡大が期待されている。
▽物流拠点へのアクセス向上で、民間投資を誘発。企業のさらなる進出や新たな雇用創出に期待。
医療面でも
▽迅速な救急搬送による圏域の新救急医療体制構築
都城IC付近に移転した救急医療拠点施設(都城市郡医師会病院)や、三次救急医療施設等への救急搬送時間の短縮により、救急搬送時の生存率が向上。
防災面でも
▽都城市などのバックアップシティとしての機能強化。
産業面では、大隅半島は食の供給基地でもあり畜産も盛んであり、2028年までの4市5町の大隅定住自立圏共生ビジョンも策定されているが、都城市は、令和6年3月発表の令和4年市町村別農業産出額で全国第1位、畜産も778億円で1位でもあり、大隅半島約22万人圏内に加え、2市が重複するが今回の開通が弾みとなり3市1町約27万人によるさらなる定住自立圏が形成されることになる。
志布志港の役割の広がりとともに、都市計画、土地利用計画、住宅、道路、公共交通などの空間関連の諸問題に関わる地方における県境をまたぐ地政学の変化も生じてきそうだ。