2024年12月29日 11時38分

《地域づくり 》

アニマルウェルフェアを起点に対話を通じて地域活性化を

関西大学経済学部による曽於市への政策提言

 関西大学経済学部による政策提言が、令和6年12月23日、曽於市役所で開催され、学生らが曽於市内の企業や農家での聞き取りなどを通しての経済学の観点からの政策提言を行ったもの。

 曽於市と関西大学経済学部とは、平成27年に関酉大字教員が地方の雇用創出の研究において、自然豊かな大地に恵まれ、畜産を中心とする農業のまちである曽於市を調査対象としたことをきっかけに平成31年3月25日に曽於市と関西大学経済学部の連携協定を締結。
 
 具体的な連携事項は、
(1)地域の活性化に関すること
(2)大学の教育研究活動及び課外活動の展開に関すること
(3)人材の育成に関すること
(4)その他、両者が協議して必要と認めること。

 この連携協定を踏まえ、後藤教授が運営するSKIMA Project (スキマプロジェクト)では、ゼミ生か曽於市の企業や農業従事者等への聞き取り調査・住民アンケートを通して、経済学の観点から雇用創出や地場産業振興への政策提言を毎年行ってきたもの。

 スキマプロジェクトは、So-City Kansai university lntegrated MAvonaise。

 この日は、関西大学経済学部の後藤健太教授あいさつし、次の要旨、政策提言報告があった。

 まず、後藤ゼミについて紹介。
 鶏の平飼いや放し飼いを例にアニマルウェルフェアについて、政策提言における後藤ゼミの立場などを説明。

 他地域との違いを明確に打ち出すことで、競争を回避し独自の市場地位を確立する。

 意図するアニマルウェルフェアの差別化戦略については、日本では、安心安全な食料調達を可能とする動物福祉(アニマルウェルフェア)が実践的に行われているが、欧州の基準をそのまま当てはめることは日本の現状に即していない。

 他地域と差別化を図る有効な手段として、現に存在する畜産の好事例を評価。
 地域産業の実情に即して取り組めるもの、曽於市の畜産業には差別化を図ることができる可能性があり、鹿児島県という畜産の規棋が大きい地城で、アニマルウェルフェアの先駆者として影響力を持つことが出来る。

写真=政策提言するゼミ生

 新たな価値基準を打ち立て新市場を開拓し、新規顧客に商品を提供する価格競争からの脱出、付加価値が付き高く売ることが出来る。

 畜種ごとに定められた基準があり、達成度合いにより承認ロゴを付与するなどステ-クホルダー・エングージメント、山梨県における差別化の事例を紹介。

 今ある事例を評価し、誰一人取り残されない現実的な基準作りを意識し、評価を得た企業は販路拡大を実現し、顧客から信頼を獲得。
 アニマルウエルフェアに取り組みやすい環境を行政が主導。

 アニマルウェルフェアで価格転換ができるかを、大学周辺のスーパー利用客に、見えづらい評価に対し、最大どれくらいまで払えるかのアンケートを実施。仮想評価法、CVMにより新たな顧客層を取り込むことが可能で、コスト増加分の価格転嫁が可能。

 主要産彙である畜産で差別化を図り、アニマルウェルフェアで市場の優位性を獲得、先駆者として影響力を持つことができる。

 曽於市活性化戦略~曽於市の持続的な発展のために~としたSKIMA9期生のテーマは、「アニマルウェルフェアを起点とし、対話を通じて地域を活性化する。」とまとめた。

写真=講評する五位塚市長

 これら発表に対して、五位塚剛市長が「畜産が大きく前進することが曽於市全体の浮揚につながる。畜産は全国で3番目、都城が1番目、鹿屋、曽於市の順ですが、鹿屋に追いつけ、追い越せと頑張っている。アニマルウェルフェアの取り組みは農家の方々も、非常に大事に愛情をこめて育てている。

 鹿大と一緒になったスクラブで、環境に配慮した取り組みを行っているが、一般農家でできるとかというとなかなか。鳥インフエンザを持ち込ませない対策をしている。
 皆さんたちにいただいたアイデアを、各農家、農場で引き続き取り組み、提案をしていただいたことに深く感謝」などと講評した。

写真=質疑に答えるゼミ生

 会場からは
 「アニマルウェルフェアは素晴らしいことで曽於市で進めていただきたいが、犬を飼っており、弥五郎伝説の里など広い敷地があるので、走らせる場所が欲しいし、馬も活躍できる場があってもいいのでは」
 「人口減少時代で、人手がかかるアニマルウェルフェアよりも、人工知能、AIを使った農業を推進していくほうがいいのでは」
 「家畜を飼っていると、伝染病で農場同士のコミュニケーションがなく、行政等からの指導で情報を得ている。」などの意見も出ていた。

 今回の9回目で後藤ゼミとしての政策提案は区切りをつけることになり、後藤教授と五位塚市長とで、これまでの取りまとめと今後についてのトークもあった。

写真=後藤教授と五位塚市長とのトークも

 後藤ゼミ生は次の通り(敬称略)。
 安田悠希、喜友名諒、石井大貴、石川征生、岩本悠志、石原太一、冨永類、笹山理湖、吉田彩乃、久嶋由理奈、木下愛梨、西川美郁、タンジンゼン、関谷類、嶋本光咲、北尾珠梨、山宮彩友。

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