《伝統 》
水稲の豊作祈願、春祭り「祈年祭」串良町の事代主神社で
鹿屋市串良町岡崎地区の事代主神社で令和6年2月18日、今年の水稲の豊作を祈願する、春祭り「祈年祭」が行われた。
事代主神社の創建は不詳で、かつては下諏訪大明神と称され、串良地区の鎮守神社で行われ、事代主神は、釣り好きだったことから漁業の神「えびす神」と言われている。
春祭りは祈年祭とよばれ、今年1年間の水稲の豊作を、事代主の神に祈願する祭り。
大隅地区の多くの神社でこの祭りは行われていた。今年は新型コロナウイルス感染も収まり、ほとんどの神社で再開されたが、一部の神社では再開できずに途絶えてしまった所もある。
神事が始まる頃になると、岡崎上子ども育成会と、岡崎東地区と西地区合同若葉会の2組が、境内に続く長い階段を登ってくる。
岡崎上地区は「棒踊り」で、浴衣姿でたすきを掛け、白鉢巻きを締めて6尺(約180㌢)の長い棒を持った青年と、カラフルな着物姿で同じくたすきと鉢巻きで、3尺(約90㌢)の棒を持った子どもたち。後方には歌を歌う古老がいる。
岡崎西地区と東地区合同の若葉会は、服装は岡崎上と同じだが、長刀か鎌を持つ「鎌踊り」だ。
神事が終わると岡崎上の棒踊りが奉納される。踊りは短い歌詞を長く引き延ばせて歌う。歌にあわせ、青年と子どもがお互いに激しく棒を打ち合って踊る。
引き続き「鎌踊り」を奉納する。踊りは長刀か鎌を持ち、歌詞と踊りはお互いに似ているようだが違う。
踊りが終わると、境内を田に見立て、祈年祭の特殊神事が始まる。
最初に鈎引きがあり作物の出来具合を占う。照葉樹の大きな枝で、雄カギと雌カギを作って境内の真ん中に置く。股と股を掛け合い、両方へ引き、引き込んだ方が勝ちと決まる。
次に、台座に乗せた模型の牛が引き出され、境内を田に見立て、子どもたちが牛に馬クワを引かせ、田を耕した。
最後に神官が見立てた田に水稲の籾種を蒔き、今年の豊作を祈念した。
祭りに奉納された踊りの一行は、神社に踊りを奉納した後、集落内を夕方まで踊って回り、岡崎地区の豊作を祈願した。