2025年01月04日 14時28分

《おおすみ雑記 》

「経済」が動く農業と、「人」が動く農業

 農業について少し前、経済を考えるとこの地域の中で、スマート農業や大型機械を使っての農業が大事で、地域を大きく動かす原動力になる。
 逆に、自然農法や有機農業の一つ一つが動かす経済は大きくはないが、「人」が動く大きな力を持っていると思う…という旨のことを書いた。

 「経済」が動く農業と、「人」が動く農業。

 思うに、スマート農業や大型機械を使えば、人手は少なくて済むが、そこにかなりの資本が必要となってきて、リターンもだがリスクも大きい。
 人手不足も外国人の助けで成り立っていいて、サスティナブルなものなのかという不安も抱える。

  今、主流の慣行農業の流れも、昔は3ちゃん農業といい、肥料や飼料をたくさん使ったりする割には収入とのバランスが悪く、一家の大黒柱が出稼ぎに行って、おじいちゃんおばあちゃん、かあちゃんが頑張る農業で、今は家族で頑張っているところ多いのだろうが、後継者不足となっている。

 逆に、今はそこまで多くないし、自然農法や有機農業をしている若い家族は、自給自足的+αな生活をしていて、都会で暮らししている人たちには不便だと思うかもしれないが、子供が自然の中で、自然と親しみながらお手伝いをするなど、そうした田舎暮らしの生活を選択をして移住をきめた人たちもいて、子どもも多かったりしている。

写真=若い移住者には古民家も人気なのか…

 農業で移住をしてきた人たちや、自然農法をしている人たちの輪に入ると、いままで取材をしてきた流れとは違う何か新鮮なものを感じたりする。

 移住は、全国の中で人の奪い合い…という人もいる。確かにそういう面もあるとは思うが、別な面から考えてみると、定年でリタイヤして老後を田舎でのんびり過ごしたいという人たちに加え、若い世代もいる。

 移住するには住む処も必要で、若い世代で田舎に住むという選択をした人たちは、買い物に便利な市街地にというより、古民家など探し、そして耕作放棄地で野菜や米作りを始めている。

 空き家対策や耕作放棄地解消にもつながり、何よりも子どもたちが元気で、にぎやかな声が聞こえる。

 移住をしてきた人たちだけでなく、地域の中で、もちろん自分も含め子どもたち中心に食を考えている人たちも、そうした場所に集まり情報交換をしている。

 今は小さな動きかもしれないが、小さな自治体によっては、人口増に繋がっているところもあるという。

何か一つの流れはすでにあるのだろう

 今のこの世情、大統領が誰になるかによって大きく変化、あるいは極右だったり少数与党だったり、政治が不安定な時代に入っており、アメリカは自由貿易を主張してグローバル化が次の段階に入ろうとしていて、ややもすると格差がより広がる傾向にあるのか。

 そうした社会に不安や矛盾を感じている今の若い世代の選択は、そうしたことに拘束されない、ある意味個々で自由な生活、それは生きていく上での最も大切なものが担保できるような場所を探し、それが豊かさだと考えている人たちなのかな…とも感じたりする。

 食の供給基地と言われるこの大隅半島、それはそれで大事なことで、今後さらに進んでいくだろう自由貿易、そこに乗っかる経済的な施策に加え、「人」がもっといきいきしていく場、耕作放棄地や空き家が流動しやすい、「人」も移動してくるそうした場が求められていくのだろうか。

 多様化の時代の中、地域で何が大事なのか、もっと模索する時代になるだろうが、何か一つの流れはすでにあるのだろう…とも思う。(米永20250104)

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