《おおすみ雑記 》
地域間格差の原因はなんだろうか、ここでは言及しないが…
前回、「２０２４年の論点１００」のことに少し触れた。１００の論点なので、それぞれ気になることがあったが、目次にさらっと目を通し、気になる項目をいくつか読んでみた。
そして改めて地方に住んでいる私たちに対するメッセージはないのか…と思い、改めて目次を見てみたが、どちらかというと都市部からの目線がほとんど。
表紙に目を落とすと「激動する世界で未来を見通すための１冊」という副題があったので、それはそうだと思った。
今の国際情勢、激変する社会の中で政治や経済、地球大異変などの大きな課題が数多くある。
ただ、地方に住む私たちにとっても、地方が抱える大きな問題があり、このグローバル社会の中、全国の地方で同じような課題を抱えていて、そこからの打開策を模索している。
そうした中で今、東京や大阪など大都市で、ゼネコンや大企業による再開発事業が盛んに行われ、タワーマンション、高層オフィスビル建設などが目白押しだ。
地方そのものを改めて見つめ直して
私は東京の五反田に５年ほど住んでいたので、品川や渋谷にも行っていたが、数年前に東京を訪れ、空港からモノレールに乗って品川方面へ向かってその変貌ぶりに驚いたが、今は渋谷の再開発などで街の様子が大きく変わってきているという。
それらに対してとやかく言える立場ではないが、地方がどんどん疲弊していく中で、東京一極集中が加速されていく。
名古屋や大阪などの大都市でもそうしたことが進められていくと、これまで地方は都会に憧れ、金の卵として仕事を求め上京。
都会に少しでも近づこうと、商店街に銀座という呼称を付けたり、東京や大阪などを店名に付けたりした時代を経て、新たな関係性を地方のほうから見出していく必要があるのだろうが、ここまで人口減少、少子化が続くと、また新たな視点で、地方そのものを改めて見つめ直していくことが求められているのか。
大隅半島をぐるぐる取材する中で感じていること
私が大隅半島をぐるぐる回り取材を重ねていく中で感じていること、そして個人的にもいろんな体験をして考えることがある。
それは、基幹産業である農業や様々な施策について、それぞれの自治体によって予算が計上され遂行されていてそれが基本だが、それらを前提にしながらも、例えば大隅半島全体でもっと広域に考えていったほうが、この全国で競い合ったりワールドワイドな社会の中でもっと伝わることがあるはずだと考えたりもする。
全国には、素晴らしい自然や食があふれ、歴史もそれぞれ違うが、全国的に有名になり成功している地域は、その特性を活かした情報発信ができているところだと思う。
例えば自然そのもの、大隅半島には、高隈連山や、南部に広がる肝属山地などの特徴ある植生は、半島全体、いくつもの自治体に跨っていること。
そして大隅半島の中世、古代の歴史を学んでいくと、志布志湾などの沿岸沿いにある古墳群も２市３町に広がっている。
大隅半島の森には照葉樹林帯で覆われているところが多い。これは薩摩半島にはないのものだ。
そして古墳群も、薩摩半島にはないものであり、それぞれがこの地域の特性を表しているのだが、その情報発信ができていないと考えている。
地方の特性を情報発信し続け成功
照葉樹林帯に関しては、宮崎県綾町が、2005年5月から「綾の照葉樹林プロジェクト」を発足させ50年後、100年後の未来を描いて、官民あげての取り組みが世界的に高い評価を受け、2012年ユネスコエコパークに登録。
「照葉樹林都市」「有機農業の町」として、2023年に全国で初めて、自然生態系農業推進条例を制定している。
一貫して地方の特性を情報発信し続け、成功している取り組みとして全国に知られている。
写真＝本紙でも2010年照葉樹林の特集をしたが…
この大隅半島は、その照葉樹林帯の面積を考えると綾町より上回っており、ＮＰＯ大隅照葉樹原生林の会が発足され、綾町の国際シンポジウムなどにも参加してきたが、広域に分布しているので発信しづらくなっているのがもったいない。
ただ、同プロジェクトも九州森林管理局や県、綾町、(公財)日本自然保護協会・（一社）てるはの森の会など5団体で広域に取り組んで成功している。
その差はなんなんだろう。ある程度分かっているつもりだが、ここでは言及しない。
照葉樹林帯、古墳群もだが、昨年末に書いた宇宙産業のことも含め、これらは広域で進めていかないと、全国に響くような発信は出来ない…とも感じている。
２０２４年の論点１００ではないが、それぞれの自治体での課題がある中、それを広域に大隅半島の論点みたいなものも、続けて書いていきたい。（米永20240115）
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