2024年07月07日 17時45分
《大隅点描 》
クモキリソウ、シソバタツナミソウ咲く
クモキリソウ(ラン科)は蜘蛛切草とも雲切り草とも書く。花の形が昆虫のクモに似ることからつけられたとされるがハッキリしない。
葉は基部に2枚向き合ってつき、幅広い卵状楕円形で表面は平すべりで脈は目立たない。
花は高さ20㌢くらいの茎の先端につくが、同じラン科でも花が目立たず登山者に知られる機会は少ない。
冷温帯性草本植物で北海道から九州まで山地に広く分布するが、鹿児島県大隅半島の稲尾岳、木場岳、野首だけが南限生育地で個体数が少なく鹿児島県絶滅危惧Ⅰにランクされている。
生育地は以北ではブナ林など落葉広葉樹林帯、大隅南部産地では常緑広葉樹林帯の日が差す明るい低木林帯に生える。
もう一枚の写真も同じ稲尾岳で撮影したシソバタツナミ(シソ科)の花である。
一般的なタツナミソウに似るが、葉の表面がシソ葉のように紫色を帯びるのが特徴で、本州(宮城県以南)、四国、九州に分布し屋久島が南限とされる。
シソバタツナミ、タツナミソウとも九州南部が南限生育地ゆえに個体数も減少し、鹿児島県準絶滅危惧種にランクされる。
大隅の自然、歴史研究
坂元二三夫