《伝統 》
春の到来を告げる山宮神社春祭り~鹿屋市串良町
鹿屋市串良町堂園の山宮神社で令和6年2月18日、約400年前から行われている「山宮神社春祭り」が開催された。
写真=勇壮なカギ引きで作を占う
かつては正月23日に開催されていたが、今年は2月18日に開催され、天気に恵まれてたくさんの参拝者でにぎわった。
春祭りは春の到来を告げ、その年の豊作を願う祈年祭。祭りには正月踊りと呼ばれる棒踊り、カギ引き、田打ちが奉納され、これらは春祭りに伴う芸能として、1962年10月24日に鹿児島県指定無形民俗文化財に指定された。
神事が終わると正月踊りと呼ばれる棒踊りが奉納された。
祭りは2月に開催されるが、かつては旧暦の正月に開催され、奉納芸能は正月踊りと呼ばれている。奉納棒踊りは堂園棒踊り、馬掛棒踊りが奉納された。
写真=神官がタネモミを田に蒔く
棒踊りの起源は諸説あり、薩摩藩が文禄・慶長の役の時、兵士の士気を鼓舞するため始まったとされ、約400年前から春祭りに奉納されているとされる。
棒踊りは6人1組で、2~3組が踊った。3尺(約90㌢)と6尺(約180㌢)の棒を持ち、短い歌詞を長く引き延ばして歌う歌にあわせ、お互いに棒を打ち合いながら勇壮に踊る。
歌い手は、手に持ったシイの木の枝の後ろに、隠れるように立って歌う。
棒踊りの奉納が終わるとカギ引きがある。オスカギは立小野自治会が奉納、メスカギは生栗須自治負会が奉納した。
南北に分かれてカギが境内に引き出され、カギを掛けて、カギ引きが始まった。
2勝した方が豊作になるとされるが、今年は引き分けで、どの地区も豊年満作になると占った。
カギの小枝を折って持ち帰り、水稲の種まき時に水口に立てて飾ると豊作になり、家の床に飾ると縁起がよいとされる。
カギ引きが終わると田打ちが始まる。
境内を田んぼに見立て、太郎(父親)と次郎(息子)が即興劇を演じ、台座に乗せた模型の牛をユーモラスに引き回り、田を耕した。
神官が春一番に芽立つ「ニワトコ(庭常)」の植物の芽と種籾を田に見立て、境内に蒔いた。
参拝者は種籾を拾い、種まきするときに混ぜて蒔くと豊作になると言われている。