《農林水産 》
県産農産物の高付加価値を~大隅加工技術研究センター
大隅加工技術研究センター公開デー2024が、令和6年11月13日、同センターで行われ、県内の食品加工業者らが参加、熱心に説明を聴いていた。
写真=真空フライスナック製造技術を説明
写真=真空フライスナックの試食
県産農産物の高付加価値化に向けた生産・貯蔵・流通・加工技術の研究への取組や、食品加工事業者の加工品開発等への支援の成果を広く県民に周知するため開催されたもの。
研究成果活用セミナーでは、酵素を使った米飲料(ライスミルク)製造技術、真空フライスナック製造技術について説明があった。
実際、製品を作る過程を説明、出来上がった3種類のライスミルクの飲み比べ。
フライスナックでは、真空にして作られる過程を見学、同装置で出来上がったごぼうやニンジン、さつまいも(コガネセンガン、安納芋、べにはるか、ベニサツマ)など7種類のスティック状のスナックを試食し、それぞれ食感や食味などを感じしていた。
写真=酵素を使った米飲料(ライスミルク)製造技術を説明
事例発表では、食品加工事業者等への支援について説明があり、県産農産物を活用した食品加工事業者による取組事例で、株式会社迫田興産の迫田成満代表取締役による「kagoshima terroir chips の取り組みについて」を聴いた。
次の研究成果の発表があった。
▽「真空フライ装置を用いた食品加工」について
同センター、嶋田義一研究専門員
▽柑橘果汁濃縮技術」について
同センター、福森直樹主任研究員
▽「加工業務用野菜の試験研究取組」について
同センター、小山田耕作研究主幹
写真=㈱迫田興産の迫田氏による事例発表
ポスター発表や施設見学、次の栽培・貯蔵・流通・加工技術に関する研究取組のパネル展示、施設利用事業者の商品展示があった。
▽ほうじ茶及び紅茶飲料のフリーズドライ(FD)製造技術
ほうじ茶及び紅茶を湯で浸出することで,茶葉を急須で淹れた場合と遜色ない風味のFDほうじ茶及びFD紅茶が製造できる。
▽「大将季」の風味を生かした濃縮素材の製造技術
「大将季」はパルプと果汁を分ける前処理を施し,得られた果汁を減圧マイクロ波乾燥機で濃縮すると,従来の「加熱濃縮」よりも素材の風味や色調を生かした濃縮素材が製造できる。
▽真空フライ装置を用いた食品加工について
真空フライは,減圧下で食用油を用いて調理する加工技術である。減圧・低酸素の環境下で油調するため素材が酸化せず,素材の味を生かした高品質の加工品の製造が可能である。
▽高温高湿度処理によるさつまいも「べにはるか」の貯蔵中の基腐病発生抑制技術
青果用さつまいもにおいて,生産者が保有するキュアリング庫を利用して,さつまいもの中心温度が42℃以上に達してから12~24時間保持するような高温かつ高湿度(90%以上)で処理すると,貯蔵中の基腐病の発生が抑制される。
写真=施設内の見学
▽定温蒸気処理によるさつまいも「べにはるか」の糖化促進技術
収穫後間もない「べにはるか」は,48℃60分の定温蒸気処理後,温度20~30℃・湿度成行条件下に3日間貯蔵すると,無処理の14℃貯蔵に比べ蒸しいものBrix値,遊離糖含量,甘味度が高くなる。
▽無加温「大将季」の5月以降出荷を可能にする貯蔵技術
無加温「大将季」は,ポリエチレン袋で個包装し,低温貯蔵することで5月以降の出荷が可能となる。また,収穫時の酸度によって出荷時期を調整できる可能性がある。
▽県産米を使用した植物性代替乳(ライスミルク)の品質の制御
県産米を原料としてライスミルクを製造する際,各種酵素処理条件を調整することでライスミルクの甘味などの品質を制御できる。
▽加工業務用野菜の栽培技術の確立に向けた取組みについて
加工業務用野菜の省力化,大規模化を促進する品種選定や,付加価値向上に向けた貯蔵・未利用資源の活用,安定生産技術開発の取組を紹介する。
また14日には、鹿屋市立細山田中学校1年生を対象に,施設見学及び加工機器操作実演も実施された。
写真=ほうじ茶及び紅茶飲料のフリーズドライ