《伝統 》
豊作祈願のお田植祭~鹿屋市の七狩長田貫神社
鹿屋市田崎町の七狩長田貫神社(通称田崎神社)で2月22日、田の豊作を祈願する「お田植え祭」が開催された。
神社は旧大隅國鹿屋郷の総鎮守神社で、永正元年(1504年)の古記録に祈年祭(ベブ祭り)があり、「苗とろとろや かみの丸の苗を しものまるにやろや・・・」の記録が残っており、祭りは500年以上前から続いている。
神事が終わると、直径50㌢程度の大きな「鏡餅」を棒に吊して担いだ神官と、牛に引かせて田をならす時に使う「モガ」を担いだ2人の神官が、「オットト オットト」と言いながら、田に見立てた境内を左回りにグルグル回り、宮司が田に種籾を蒔く。
次に七人の侍(田人)がニワトコの小枝の股を利用したカギを担ぎ、神官の後に続いて境内を回る。
ニワトコは春に一番早く芽が出る木で、かつては肥料として芽の出た小枝を田んぼに撒いていた。芽は山菜として食用になる。古くは、枝や幹を煎じると骨折した時の湿布としても使われていた。
観衆は競って、餅・モガ・カギを手で触る。触ると1年間健康で過ごせ、女性は子宝に恵まれるという。
七人の侍は台座に乗せた木型の黒牛模型を引き出し、田に見立てた境内を引っ張ってグルグル回って耕す。
牛のシンボルを触ると牛が元気になり、触った女性は子宝に恵まれるといわれ、女性が笑いながら触っていた。
次に七人の侍は牛の鼻先に餅を掛けてモガを引かせ、境内を駆け巡って田を耕した。
七人の侍は「今年も立派な米ができました」と大きな声で観衆に聞こえるように言いながら、昼食のご飯を食べて休憩した。
突然、七人の侍は茅に白砂を包み、太鼓の音に合わせて観衆を追いかけ、逃げる観衆に白砂を振りかける。白砂をかぶると1年間健康に過ごせると伝えられ、見物人は歓声を上げながら走って逃げ、ありがたく白砂をかぶっていた。
最後に宮司を先頭に参加者全員が、境内の大楠に生えているツタカズラを稲苗に見立て、田植え踊りを踊り、今年の豊作を祈願した。
新型コロナウイルス対策で中止になっていたグランドゴルフ大会は、4年ぶりに神社境内で午前中に開催された。大会は個人戦で団体戦は行わず、祭り終了後に入賞者に商品が贈呈された。