《おおすみ雑記 》
農業のスタイルごとに課題や活かし方を考えてみる…
先日誘われて、自然栽培20年実施ノウハウ教えます…のyoutuber、今橋伸也さんのセミナーに取材も兼ね参加した。
また最近、SDGsや脱炭素などに関わる取材も増えてきている。
2050年のカーボンニュートラル達成のため、農業では、化学農薬の使用を減らすこと、健康食品の選択肢を増やすことなどを国は進めようとしている。
いろいろ思いを重ねる中で、私たちが口にする食、ということではいっしょだが、その食を作る農、いわゆる百姓というスタイルの農業と、大消費地に送るため、あるいは加工品を作るための大量生産というスタイルの農業とは、別物と考えてみたほうがいい…と何度かこの欄で伝えている。
こうしたセミナーを聞くたびに、その思いが強くなる。
写真=無農薬で作られた稲の掛け干し
スマート農業や大型機械を使っての農業もそれはそれでとても大切で、輸出も含めて一つの産業としての農業をしっかり育てていくことは、食の供給基地といわれるこの大隅半島では大事なこと。
そして、自然農法や有機農法、私の考えではこの2つも別物と思ってはいるが、産業的な農業と区別しての農法。
一つには、この国の自給率を高め、それを実感していくためにも、自然農法や有機農法もとても大切だと思う。
食の供給基地であり、食の自給率が200%を超えると言われる地域も持ちながら、市街地に住む人たちはスーパーで野菜を買う毎日の生活であまりそれを実感していない。
ただ、中山間地に行くと、獲れた野菜が物々交換的に生活の中でいかされているという話を聞いたり、この地域ではまだ移住者自体がそんなに多くないのだろうが、この豊かな自然を見に来て、自給的生活をイメージして移り住んで来た人や家族もいる。
経済を考えるとこの地域の中で、スマート農業や大型機械を使っての農業が大事で、地域を大きく動かす原動力になるが、自然農法や有機農業の一つ一つが動かす経済はそこまで大きくないのかもしれないが、「人」が動く大きな力を持っていると思う。
先日は、自然農法を目指し実践している20名くらいのグループの収穫祭にお邪魔した。
無農薬でできたお米を炊いて、そのお米が育った田んぼの中での収穫祭。
持ち寄った野菜等も、それぞれが無農薬で作ったもので、うまく表現できないが、そのお米や野菜はいい香りがして、味がはっきりしとても美味しい。
次の予定があって写真を撮ってしばらくして移動しようと思ったが、お呼ばれしてつい箸を握り居座って、この場所で無農薬でできたお米をいただき、野菜やスイーツ、ドライフルーツまでいただいた。もちろん素材は無農薬のもの。思わず唸ってしまい、ごはんを2回おかわりした。
その瞬間の小さな幸せのようだが、とても大きな広がりを持つ動きというか、こうした思いや五感で受けたことをもっと多くの人たちに体感してもらいたいし、特にこの地域の子どもたちに味わってもらいたいと思う。
こうしたグループや個々で自然農法、有機農法で頑張っておられる家族、農家も点在していて、それが今、何かで繋がろうとしているのか。
中身のある地産地消、耕作放棄地の解消、自給率の高さを実感するためにも
鹿児島市であったそのセミナーも、県内各地から大勢が集まり、鹿屋市や曽於市、大崎町、南大隅町の農家や自然農法を目指す人たちも参加していて、最後は参加者同士の交流、ライン交換などをし合った。小さな動きだがうねりとなりそうだ。
今世界でも、有機給食を取り入れる国が急速に増え始めているという。日本でもそうした流れは始まっていると思うが、その場ではあまり給食の話は出なかったものの、自然とそうした流れになっていく、そんな気もしている。
先日はさっそくその南大隅の方からライン電話が鳴った。ちょうど取材が重ねっていていけなかったが、催しのお誘いだった。
自然農法はできない、難しいと思っておられる方が多くいらっしゃると思う。前回はナチュラルな土…ということを書いた。
それは一朝一夕でできるものではないので、産業として捉える農業をしている農家の方々にはとても難しいのだろう。
今、耕作放棄地も増え、小さな面積でもいいので試してみてもいいかと思う。言うは易しだが…。
例えばセイタカアワダチソウが生え、次に何が生えてきて、次は〇〇という自然の草が生え、オオイヌフグリが生えてくると土が肥えているということになるそうだ。
前回の冒頭で書いたように、これまでの化学肥料や農薬を使った農業が当たり前に行われていること、それはそれで今後も繰り返されていくのだろうが、別な流れも今、確実に動き出している。
どっちがいいとか悪いとかでなく、地域の中で双方が共存し、特に子どもたちに、いい香りがして、味がはっきりしとても美味しいお米や野菜を口にしてもらいたい。
給食で扱うとなるとロットが…という話になるが、それをクリアーできるよう何かしら知恵を絞って…。
中身のある地産地消を感じ、耕作放棄地の解消などとも絡めてこの国の自給率を高め、それを実感するためにも…(米永20241217)