2025年03月05日 11時05分
《伝統 》
農耕から収穫までを面白おかしく~宮貫神社で豊作祈念祭
東串良町宮下の宮貫神社で2月23日、豊作になるよう祈願する春祭りの「祈念祭」が行われた。
祭りには鎌を持って舞う鎌踊と、棒を持って踊る棒踊りが奉納されるが、今年は鎌踊りだけが奉納された。
毎年2月23日に祭りは開催されるため、地元では「2月祭り」とも呼んでいる。

神事の後、境内を田に見立て、春に田を耕す農耕から秋の収穫までを面白おかしくみんなで演じた。
さらに田の神祭りを境内で再現し、田の神が今年は豊年満作と占った。

農耕神事は木製の鍬を持った田人が田の見回りをして、田の水が漏れないように鍬で畦塗りした。
次に木製の台座に乗せた模型の親子牛2頭を引き出した。親牛に田を耕す農具の「モガ」を引かせ、後には子牛のモガを引かせて田をならした。

ニワトコと呼ぶ春一番に芽を吹く「タラの芽」を肥料の代わりに蒔き、宮司が種籾を蒔いた。かつては肥料がなく、タラの芽を肥料の代わりに田んぼに敷き込んでいた。

地球温暖化で早くも苗が出来ましたと、本物の稲の苗が運ばれ、観客も参加してみんなで田植えを行う。
除草するための「田車」が稲の間を押して、早くも収穫した米を石臼を使って餅つきした。紅白の餅を田の神にお供えし、田の神は今年の作柄を「豊年満作」と占った。

一連の特殊神事が終わると鎌踊りが奉納された。最後に捕り物を持たずに「まつしま」と呼ばれる手踊りを踊り手が賑やかに踊り、祭りは終わった。
豊作を祈念して、田の耕作から収穫、さらに餅つきまで行い、今年の作柄を占う特殊神事は、宮貫神社だけである。


