《伝統 》
下高隈地区が勝利し豊年満作占う~日本一の鉤引き祭り
二股のオス鉤とメス鉤のご神木を掛け合い、勇壮に引き合って今年の豊作を祈願し、勝敗で作物の吉凶を占う「日本一の鉤引き祭り」が2月16日、鹿屋市上高隈町の中津神社で行われた。
新型コロナウイルス感染対策で祭りは一時中断し、昨年4年ぶりに開催され、昨年に引き続き今年も盛大に行われた。
祭りは下高隈地区が勝利し、下高隈地区は豊年満作になると占った。
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まだ夜が明けぬ早朝6時過ぎ、各地区では神木を切り出し、上高隈地区の高隈町内会は「オス鉤」を引き出した。
大黒町内会の下高隈地区は、「メス鉤」を引き出した。
それぞれの地区公民館まで神木は運ばれた。両地区の公民館では婦人が数日前から調理して朝食を作り、太鼓・三味線で盛大に一行を出迎えた。料理は豚汁と煮しめで、みんなで美味しく食べた。
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両地区の御神木は、昼前に神社前の長い階段を途中で休むことなく駆け上り、めでたくオス鉤とメス鉤は境内に担ぎ上げた。
昼食が終わった0時30分から神社境内で奉納芸能が始まる。重田集落の棒踊り、よさこい、ジャンベ演奏などがあった。
午後2時からいよいよカギ引きが始まる。境内は身動きがとれないほどの人が集まる。ルールは3回勝負で時間は無制限。2勝した町内会が勝ち。勝敗がつきそうでない時は、審判長の判断で決める。
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上高隈の大将は増田龍一さん、下高隈の大将は濵田勇治さん。
境内の中央に白線が引かれた。木の股を利用した長さ1㍍程度のカギで、引き手の足が滑らないように中央線に沿って溝が何本も掘られた。
神木のオス鉤とメス鉤は境内の中央に運び出し、激しく地面に3回叩きつけた。
これは「さよんどし」とよばれ、「山の神様、春が来ました、冬の眠りから目覚めてください。今年も豊作になりますようお願いします」と人々は祈願した。
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中央線上に両カギが引き出され、オス鉤が下に構え、メス鉤を上からオス鉤に掛ける。引き手は焼酎を飲んで気勢を上げており、なかなか掛けることができず、時間がかかった。例年はカギ掛けが荒れるが、今年は穏やかだった。
カギが掛かると一斉に引き合う。時間は無制限で、1㍍以上引き込み2勝すると勝ちで、下高隈が勝った。2回目も下高隈が勝ち2勝して優勝と決まった。下高隈地区は豊年満作になると占った。
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鉤引きが終わると境内に台車の上に乗せた模型の黒牛が登場し、氏子が牛の模型を引いて境内を田に見立て耕した。
神官を先頭に境内を、神社関係者が反時計回りに隊列を組んで神歌を歌いながら廻り、苗に見立てたツタカズラを参拝者に配り、やぐらの上から餅まきして祭りは終わった。
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