2024年01月17日 10時15分

《雑草 》

除草剤使用も日本だけ緩和~裏には遺伝子組み換え

 前回、モンサント社のことを書いてきたが、今はバイエル社になっている。

 「モンサントの不自然な食べもの」映画は、フランスのジャーナリスト、マリー=モニク・ロバンが、取材で世界各国を飛び回る日々を送ってる中、行く先々で耳にする巨大多国籍企業「モンサント社」の黒い噂。

 その真偽を確かめるために、インターネットを使って情報を集め、アメリカ、インド、パラグアイなど10カ国の現地に赴き、3年間にわたり証言を集めていったというドキュメンタリー映画。

 今でも、同社をネット検索すると、約632万件がヒット、裁判に関するものも多い。

1兆円超の和解金、民事訴訟は1万件以上

 その中、日経紙では「独バイエル、1兆円超の和解金で合意 農薬巡る訴訟で」というタイトルで、除草剤の発がん性をめぐる訴訟で、米国の約12万5千人の原告の大半に合計最大109億ドル(約1兆1600億円)を支払うことで和解したと発表。2018年の米モンサント買収から続いた問題に区切りをつける。と報道されている。

 前回は、タネそのものの問題だったが、今回は除草剤。

 原告側は、バイエルが18年630億ドルで買収したモンサントの主力商品だった除草剤「ラウンドアップ」の主成分に発がん性が疑われるとして提訴。18年8月に米カリフォルニア州で高額の賠償金の支払いが命じられ、原告の数が膨れあがった。バイエルは同製品は安全だとして争っていた…とある。

 これらを受け有機農業が非常に盛んなフランスでは、2019年ラウンドアップを即、販売禁止にし、オーストリアも、施行にはEUの合意が必要だが、ラウンドアップの有効成分であるグリホサートの使用を全面禁止する法案を可決。

 裁判のあった米国でも2019年、2023年にラウンドアップの販売終了をバイエル社が決めている。
 がんの一種である非ホジキンリンパ腫を発症したなどとして、モンサントを訴える民事訴訟が1万件以上起こされているという。

日本だけ農薬新商品を次々登録、残留基準値引き上げ

 ここがとても大事なところだが、発がん性が疑われるとされ、この世界の潮流がありながら、この日本では、農水省がグリホサートを有効成分とする農薬の新商品を次々と登録。
 厚生労働省は2017年12月、一部の農産物の残留基準値を引き上げた。

 ライ麦とそばが0.2ppmから150倍の30ppm、小麦は5.0ppmから6倍の30ppm、とうもろこしは1.0ppmから5倍の5ppmという。

 それと並行して、タネのFI~種子法廃止~種苗法改正、そして遺伝子組み換え食品表示の改正などが行われている。

 私たちは、この事実をしっかり認識し、自分たちのこことして、今何をすべきかということを真剣に考えていかなければならない。

 これらについて問題を指摘する報道も最近増えてきてはいるのだろうが、国民がちゃんと認識している…というところまでは届いていない。

 しかし、そこに気付いた一部の人たち、自治体は、次々とアクションを起こしている。

発がん性疑われ、動物の生殖に悪影響を及ぼす可能性

 この大隅半島も農業が基幹産業で、畜産が中心だが、飼料中のグリホサート残留量が増加していると指摘されている。

 グリホサートは動物の健康には一般的に安全であるとされてきたが、最近、主要な調節酵素の破壊、血清レベルの変化、生殖組織の損傷、配偶子形成の障害など、動物の生殖に悪影響を及ぼす可能性があることが指摘されている。

 グリホサートが残留している飼料を食べた牛や豚を食べるとどうなるのだろう。
 しかも、遺伝子組み換え作物の多くは、除草剤であるグリホサートに対して耐性を持つものが最も一般的であるとされている。
 
 日本では遺伝子組み換え食品表示があいまいになりつつあって、遺伝子組み換え作物の名のもとに、グリホサートに強い、つまり撒かれたあとの食品が私たちの食卓に並んでいることになる。

子どもたちが通い、遊ぶ学校や公園などで未だ使用

 全国で、気づいた人たちが何らかの動きを始めているが、この地域でも「大隅半島オーガニック給食の輪」としてお母さんたちがアクションを起こしている。

 一つには、ここ4半世紀で、発達障害児が68倍になっているというデータがあり、発がん性が疑われる除草剤、子を持つ親として、タネの問題や食品についてはもちろん、子どもたちが通い、遊ぶ学校や公園などでもこのグリホサート系除草剤が、未だに撒かれている現実があるからだ。

 まだ深い問題がある。(米永20240117)

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