2023年03月15日 17時27分

《オーガニック 》

県職投げ打って、美味しい有機茶玉露を世界に売り出す

オオスミ オーガニック ティ カンパニー代表の尾崎重尚さんに聞く


 鹿児島県の若い世代の茶生産者に有機栽培の玉露の作り方のコンサルティングをおこない、作ったお茶のマーケティングをはじめた会社、Oosumi Organic Tea Company(オオスミ オーガニック ティ カンパニー)。

びっくりするほど
美味い有機玉露


 代表は尾崎重尚(おざきしげひさ)さん。旧大隅國(霧島、鹿屋、肝属、熊毛)の茶業青年と共に「びっくりするほど美味い有機玉露」に挑戦…として、令和4年4月に創業。
 尾崎さんは、普及員としての23年の経験から、県内茶生産者との交流、信頼関係の構築、生産者育成とブランド育成を行ってきた。
そこで、土づくり、仕立て、製造、すべての工程に出来る限りの手問を詰めた若者達の「夢」の結晶に挑戦…を決め、今、40代を中心に8茶農家が有機玉露にチャレンジしている。写真は尾崎さん。令和4年での生産者は次のページ…→

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挑戦に至った経緯


 普及員の仕事をする中で、茶業界における現状については、これまで鹿児島の茶業発展を支えた流通システムがあった。機械化と規模拡大、高品質で品質が安定した茶の生産拡大により全国一の生産量を誇る産地に成長生産した。
 値決め、決済、販売と分業化が確立され、関係機関による厚い支援もあって、生産者は茶の生産に労力を集中すればよかった時代。
 茶生産者~市場~茶商~お茶屋や量販店~消費者と情報は一方通行だった。
昭和は贈答用としての茶が消費の主力で、平成になってからボトリング茶が生活に溶け込んできた。

令和では産地や生産者
の情報をダイレクトに

 令和になると、SNSの発達で産地や生産者の情報をダイレクト受け取り、高級茶、有機、国産紅茶など、茶の消費は多様化。
 今は茶生産者から消費者まで、それぞれで情報が双方向になり、消費形態が変化。人にあげるものから、自分のために買うものへ変化。
 生産者は消費者の声を反映する生産が求められるようになってきている。

 また、今主流となってきているドリンクメーカーが支える産地とその弱点としては、RCEPによるアジア圈の輸入自由化があり、台頭してきている中国の輸出拡大。

 茶生産量は、中国300万トン、日本8万トン。栽培面積中国293万ヘクタール、日本3・8万ヘクタール、輸出量は中国3000億円、日本204億円であり、国内茶産業は危機を迎える可能性が大きい。

 茶産地を維持するために、国内大手ドリンクメーカー主導で品質のそろった安価な茶を大量に作るなど経済の論理で対抗。地域の大型法人に対して積極的な支援を行い、茶園の集約、工場の規模拡大、機械の導入、低コストで品質の安定した茶生産を推進。

 これによりギリギリの生産コスト、薄利、指定された生産方法、大規模工場への集中、増える法人とその従業員。

 メーカー主導では、大量に同じ品質で安価。

 ただ、令和の消費者は、嗜好品としての評価をしていて、好みの多様化、小ロット、こだわり、高単価でもOK…など考え方が異なっている。

小量・多品目生産の
小規模な経営者が…


 比較的小規模な経営の生産者は、小量・多品目生産が可能である。
そして、ネット環境の充実が作り出した販売体制が可能。消費者は茶作りに対するこだわりなど生産者の情報を簡単に入手し、共感した対価として茶を購入。世界の距離を一気に縮める新プラットフォームを形成。

 さらには、RCEPやEPAなど関税の撤廃、物流の自由化の加速などが、今後の茶の輸出事業に大きく影響していく。

つまり、マーケットインによる産地の育成をし、生産者の意識を世界に広げ、消費者の希望を満たすことができればすぐにでも世界中の消費者を対象に取引が可能なる。写真は水出しできれいな緑茶に/販売している有機玉露

 そこで、若者が夢を見られる茶業、有機玉露を世界へ。世界の日本茶ファンヘ自分の飯高傑作、ストーリーを発信。

 感謝と共感とその対価として、若手経営者による自分たちの新たなブランドを構築。

 マイナスの現実ではなく、それを打破する「夢」の提案。

「夢」…毎日を楽しく過ごす仕事、「行動」…夢を現実化する企画、「活力」…消費者からの感謝により、オンリーワンを世界へ発信していく。

「有機・玉露」の世界発信、新たなブランド形成の成功する必要十分条件を満たすもの。

国内外の消費者が様々なお茶の中から、自分たちが作るお茶を選んでもらうためにしておかねばならない事は次の4つに加え「有機認証」を取得すること。

①生産地の情報が明確であること(テロワール)

②生産者の茶作りに対するコンセプトが明確であること(ストーリー)

③飲む人の健康に貢献していること(ヘルス)

④生産工程が明確で有ること(トラスト)

有機農産物に対して関心が高く、日本茶の「旨み」を味わう事、「健康」を得ることを望んでいる。

 尾崎さんは、普及員で県内の茶農家を訪ね、仕事をしてきたな中で、坂元園製茶の坂元修一郎氏と出会った。

坂元さんは、生産協会の会長として鹿児島県の将来を模索。「有機・玉露」のような高品質の茶のブランドがこれからの鹿児島には必要、本当のブランドとは、こちらから売り込まなくても相手から寄ってくる…、販売価格を自分で決める事ができる商品を…ということを教わった。

 「坂元園監修」の有機玉露で、人と技術をブランド化していく、おおすみ有機茶研究会が新たなブランドとして世界へ発信することを、Oosumi Organic Tea Companyが支援していく。

23年の普及員体験
スキルが今後活かされる


 尾崎さんは、普及員として、平成16~19年に曽於で製茶の基礎を学び、県大会の取り組みのなか、坂元園との出会い。

 同20~24年には、種子島で各種技術の習得、種茶、バルシステムなどブランド設立、発酵学でばかし肥料を研究。

 同25~29年には、鹿屋・南隅で基礎の応用、実践力の作成、田代有機玉露研究会などブランド設立、県大会イベントの開催方法を学んだ。

 そして同30年から令和2年、霧島で全国大会等、実践を成果へ、紅茶研究会でブランド設立支援、OTYクラブで有機栽培への取り組みを行った。

 それらが、これからのスキルとなって活かされることになる。

 令和4年4月に創業した00TCは、茶業コンサルタント及び斡旋販売を行うが、令和4年はコンサル料は取ってない。

その代わりに生産コストをかけ、品質を上げてもらうことを行ってきて、荒茶を仕上げて製品化。商品価値を上げて販売することで利益を確保していくという。

新たな飲み方等の提案も


 尾崎さんは「これから国内だけでなく、海外、欧州を中心にバイヤーへ発信していきたい。ただお茶は世界中にあり、当初は抹茶も考えたが設備投資が必要で、手間暇かけた有機玉露を若い世代の仲間たちに作ってもらい、ブランド化しそれなりの値段で発信していきたい。ネットでも販売できるように準備中です。

 有機玉露の美味しい飲み方、急須や水出しで、またレストランなどでのティペアリング、ワインのようなボトルに入れて飲むスタイルも少しずつ流行ってきていて、今後そうした提案もしていきたい。
 まずは、この大隅の有機玉露、地元の人にも飲んでいただきたい」とPRしている。

 00TCは、鹿屋市横山町1635-3、電話090-2088-2262

 有機玉露「FU」は、1,100円/袋

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