《行政 》
コスモピアを再開して…町は新たなものを築いていきたい
コスモピア内之浦を愛する会のメンバーと町幹部らとの話し合い
肝付町で令和6年12月18日、コスモピア内之浦を愛する会のメンバーと町幹部らとの話し合いがあった。
同会では解体の方針を撤回するよう町長に申し入れを行ったが、永野和行町長は、内之浦のロケットと観光を中心とした発展を目指し伸びしろがある。ただ町の財政等を考えると「(今回の)皆様の希望には添えない。新たなものを築いていきたい」など応答。
話し合い終了後、同会ではさらに反対の活動を続けていく…など語っていた。
肝付町の国民宿舎「コスモピア内之浦」について、町は6日に開会した定例12月議会に同館の解体工事費5億9300万円を計上した補正予算案が提案されていおり、13日の一般質問では議員からも質問がなされるなどし、20日の最終本会議で採決がある予定となっている。
この日の話し合いでは、永野町長が「町政の現状や次の世代に向けて、どうやってこの町を、皆さんの暮らしを守っていくのか、住んでよかったと思える持続可能なまちをつくっていく必要がある。皆さん方の思いもお聞かせください」と述べた。
写真=コスモピア解体の説明をする永野町長
同会からは、「どうも解せないのは、こうした解体等を行っていく場合、そこに新たなビジョンがあるはずだ。
新たにコスモピアに代わるものを造るということで最優先交渉権者がいるという話だが、今106人なので50人以上の宿泊、温泉や宴会、レストランを造るということを条件にということができないのか。
コンテナハウスが10とか、ちょっとした温泉施設など、私たちの思いとかけ離れている。高齢化が進む内之浦地区、関係人口を増やすというのが最後の砦、それができなくなり未来が見えない。
耐用年数が22年もあるのに解体し、建て替えるまで3~4年かかり、高齢者は待てないし消滅集落になる。しかも私たちの思いの届かない施設というのは納得できない。」
「コンテナハウスでは、同窓会や忘年会など宴会もできない。温泉施設も含め、地域の人たちの交流の場、憩いの場がなくなって4年、そして解体というのは内之浦を見捨てているのでは」
「4年間でこの内之浦大きく疲弊した。もう待てない、2~3年後も待てない。その後の先も見えない。」
「町長や議員はまだ若く将来があるけど、私たちはあとがないし、老後は温泉でも浸かってのんびりと思っていたが、それもできていない。そして解体では希望が持てない。」
「私たちは中の掃除をして、まだピカピカできれいにしてある。小規模でいいので、半分でもいいので使いたい。再開の希望を消さないで」
「港は避難港でもあり、台風が来た時、あちこちの船やヨットなど非難する場所でもあり、ヨットで来た人も温泉にゆっくり浸かってほしいし、ロケットを観に来た人からも、温泉がないと言われ寂しい思いをしている」
「交流人口を増やしていくためには宿泊施設が必要。壊すということは町にとっても大損害、考え直してほしい」
また、コスモピアで働いていたという70代の元従業員は「宿泊は黒字が続いていた。温泉は赤字かもしれないが、赤字が続くというのは、その業者のやり方もあると思う。どうした考えなのか学生の団体客を断るようになり、食事も地元の海産物や野菜を使ったりしていたがそれも少なくなり、結果的に赤字になったりしていた。内之浦の良さをもっとだしていけば宿泊客は増えるはずです」
「私たちは財政のことは分かりませんが、やってくれる業者がいないのなら町がすることも考えていると言われましたが、最初から町がやってくれればそれで円満じゃないですか。伸びしろがあって人がたくさん来るというのなら、またそこでホテルを建てればいいと思う。矛盾していて納得ができない。
どこの業者がきても温泉施設をちゃんと造るということを約束してくれればいい。いろんな情報が飛び交っていて、町の本当の本音を知りたい。将来へのビジョンを聞きたい」
「全国版のメディアを使って、若いやる気のある人たちを呼び込んで成功しているという例も聞く。そういったことはされたのか、良いアイデアが出ると思う」などの意見が出ていた。
写真=話し合いを終えて、さらなる活動を…と会のメンバー
永野町長は、「あの規模で維持管理をしていくこと、宿泊客が多くて回転していけば決して解体とかいうことはない。事業者も撤退をすることが続いて休館となった。」などと話し、町が消滅可能性自治体であることや今、宇宙で連携しようとする大学の訪問も続いていて、宇宙と観光で伸びしろがある地域であるが、今の状態での補助はなかなか難しい」など答えていた。
コスモピアについての町の動き
同施設は1998年開業。鉄筋4階建で宿泊定員106名(和室13室、洋室
26室・うちシングル17室)、大浴場・サウナを備えた温泉施設、110畳の宴会場、会議室、レストラン、ティーラウンジ、売店などの設備があり、地元民の憩いの場、宴会や交流の場、観光・帰省客やロケット打ち上げ施設関係者の利用でにぎわっていた。
しかし、近年赤字が続き、さらにコロナ禍で大きく利用者が減り、運営事業者が撤退、2020年9月から休館が今まで続いている。
町は、2021年3月に設置した「国民宿舎コスモピア内之浦のあり方検討員会」に諮問。有識者等による検討で、施設の老朽化など大規模修繕費約6億3000万円、温泉棟の天井・浴槽配管等1億5000万円程度など約7億8000万円がかかり、規模を縮小した新施設の整備方針を提示などの答申を12月に受けた。
2023年3月には、町幹部やマネジメント会社による住民向けの説明会が行われ解体方針が示された。
町は、2023年12月から同施設の運営に係る優先交渉権者公募を行い、2024年3月には、優先交渉権者を選定し、決定した優先交渉権者が解体後の跡地利用を希望しており、6月補正で国民宿舎コスモピア内之浦の解体に係る設計監理業務委託料を計上。
優先交渉権者の主な提案内容は、温泉施設の整備、ホテル事業=シングルサイズの部屋を複数戸整備、飲食事業=新鮮な海鮮料理、辺塚だいだいを使用した食事の提供など今後の方針が説明された。
コスモピア内之浦を愛する会は
これに対し、地元内之浦住民により2021年6月、町民のために温泉施設の再開、同窓会などの宴会場、帰省シーズンの宿の確保など、早期改修・再開を求める声が上がり、3200筆を超える署名を町に提出。
2024年5月には、活動を続けてきた施設の存続を求める住民らが「コスモピア内之浦を愛する会」を結成。
同館の草払いや掃除等を続け、12月15日には42人が施設内を見学し、存続に向けた方策を議論している。
そうした中で、今議会開会前の12月4日には、町議会議員を交えての意見交換会が開催され、6日に議会が開会、同施設の解体工事費5億9300万円を計上した補正予算案を提案。
この日の話し合い、提案となったもの。