2023年11月10日 15時13分

《大隅点描 》

肝属川流域の70余集落の水神様で祭られていたが今は数少なく

上祓川の八月踊り

 古来、大隅半島の肝属川はシラス台地侵食からの流れるままの曲り入った蛇行河川で洪水の時は氾濫により水田が水没し湖化し、自然まかせの稲作地帯でもあった。

 一方で晴天続きで水不足の発生を防ぐため上流、中流から取水するための井堰を設け新田川を通していた。

 また湧水地から新田川、さらに取水池からの新田川としていた。こうした新田川は水田用だけでなく住民の生活用水にも利用され、大変便利なもので水に感謝し地区ごとに水神祠(石碑)が建納された。

 そしていつしかこの感謝を祝う民衆の素朴な祭り行事として太鼓、三味線、鉦などの演奏に合せて歌、踊りに発展し水神踊り、川踊り、鉦踊りともいい旧暦8月18日に踊られたことから8月踊りとして定着した。

 また肝属川河口には古くから廻船問屋で発展し、関西地方や琉球からの滝行踊り、歌も新しい要素が加えられていった。踊り連の服装、形式は男女様々で夜中踊られていた。8月踊りは右手を指し出す特長が見られることから手踊りともいわれる。

 肝属川流域の70あまりの集落で8月踊りが行なわれ「8月踊り文化圏」とも持て囃され集落住民の楽しみであった。現在の8月踊りは数か所のみとなり伝承として受け継がれている。写真は10月29日鹿屋市上祓川町で行なわれた水神祭の8月踊り奉納祭である。

 上祓川町の8月踊りは芝井堰の水神前での奉納神事により踊りが始まります。踊り子の金色のヒラヒラの紙は顔をかくすという独自性を現したものです。祭りの日は秋の収穫祭も行なわれ、焼餅とともに人気で完売となった。

 大隅半島における祭り事については昭和63年発行の「ガイドブック大隅半島」にくわしく紹介してあります。鹿屋市立図書館。

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