2025年05月17日 06時39分

《大隅点描 》

ヒュウガヒロハテンナンショウ咲く~凛とした美しい姿

 写真はヒュウガヒロハテンナンショウ(サトイモ科)の2株である。
 夏緑性の球茎を有する多年草のヒロハテンナンショウ群で、宮崎県の鰐塚山と鹿児島県の肝属山地の固有種となっている。

 平凡社「日本の野生植物、改訂新版」では、茎の高さは20㌢から50㌢、葉は1個で、小葉は5~7枚と紹介されているが、茎の高さや葉の大きさは、地下球根の年数の大きさにより異なる。

 今回発見した2株は、大きいものは高さ28㌢、葉は鮮やかな緑色で長さ21㌢、幅8㌢、小さいものは高さ18㌢、葉の長さ9㌢、幅3.5㌢と違いが異なることが分かった。

 大きい一株は、茎、葉、花とも全体が緑色で花に緑と白の縦筋の入ったものを発見し、すべて全体が緑色でないことも確認できた。小葉は2株とも5枚である。

 このヒュウガヒロハテンナンショウは45年前に宮崎県日南市、三股町境の鰐塚山(1119㍍)で発見され、ほぼ同年に鹿児島県の肝属山地で発見以来、今回、久しぶりに、しかいも2株を同時に発見した。

 本種は、鹿児島県レッドリスト「危惧1」、国(環境省)の「危惧1A」に指定されている。

 しかし広大な肝属山地でありながら自生地、個体数は限られており、自然災害や環境変化などにより絶滅に近い状況にあり切迫している。

 鰐塚山と肝属山地とは53㌔mと離れているが、太平洋岸に面する古日向の地にあり、ヒロハテンナンショウ群の経歴を知る上で貴重である。

 照葉樹林下に咲く、その凛とした美しい姿は森の住民そのものである。

 大隅の自然、歴史研究
 坂元二三夫

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