《戦争と平和 》
「桜舞~花征きて~」平和への想いと己の命と向き合う人々
演劇「桜舞~花征きて~」が、令和7年8月16日、コミュニティセンター志布志市文化会館で開催された。
出演:演激集団Indigo Plants(インディゴ・プランツ)
藤田信宏 三原珠紀 他

太平洋戦争末期。特攻兵器の要員となった隊員の物語。彼は敵に突入することだけを念じ、その残り少ない日々を過ごしていた。
戦後80年の節目を迎えるにあたり、改めて戦争や平和について考え,
生きる意味とは、死ぬ意味とはと問いかける演劇。
同劇団は、2009年に蒼空~空どこまでも蒼く~の第1回公演を東京を皮切りに全国で開催。
2014年から2016年にかけて「蒼空」鹿児島ツアーで、鹿屋市や曽於市、肝付町など、全国ツアーの中で垂水市や姶良市などで実施。
「忘れてはいけないこと」を心に刻みながら作品創りを続けて、被災地復興支援活動や鹿屋市を始め、各都市での自主文化事業や記念公演で活動。
「蒼空」に続き2022年から「桜舞~花征きて~」で、日本の歴史に刻まれた事実と、そこに生きていた人たちの心情を描き、平和への想いと命の大切さを感じてもらうきっかけにしたいと自主文化事業で公演。

ストーリーは次の通り。
特攻兵器である人間爆弾・桜花。
桜花搭乗員である学徒兵・秋山勇は、鹿屋基地に赴任した時、まだ迷いの中にいました。
そこで出会った従軍看護婦の山際響子。彼女は、特攻作戦が、それを行う日本が、この時代がおかしいと諭し、自分は看護婦として、命を救う事に己の命をかけたいと語ります。
桜花を運ぶ一式陸上攻撃機を操縦する一式陸攻隊隊長・近藤伍郎少佐。
職業軍人・近藤、学徒兵・秋山。全く違う生き方をしてきた二人は本心と建前のせめぎ合いの中で語り合います。二人が唯一共通する想い、それは「守りたい」という気持ちでした。
自分の整備する桜花が、人間爆弾として人を死なせる兵器である事への葛藤を抱く整備兵・御代田啓太。
近藤少佐への想いを抱きつつ、女学生たちに生きることの大切さを伝えようとする教師・御代田真知子。
息子と再会し、その先に永遠の別れがある事を知った秋山勇の両親。
己の命と向き合う人々を通して、時代、そして心を描く人間ドラマ。

この日は、戦後80年を迎え、桜花が飛び立っていった大隅半島の地で、出撃する学徒兵の揺れる生き様、従軍看護婦の思い、桜花を運ぶ一式陸上攻撃機を操縦する少佐との間での葛藤が描かれ、迫力ある飛行機の爆音など会場は、戦争末期に舞い戻った感覚で舞台を見入っていた。