《四季の話題 》
天然ホタルが乱舞~輝北町でひらぼうほたる祭り
鹿屋市輝北町平房の「ひらぼうほたるの里」で5月25日、第13回ひらぼうほたるの里「ほたる祭り」オープニング祭があった。祭りは6月1日まで開催される。
平房地区では5月下旬から6月初めまで天然の「ゲンジホタル」、「ヘイケホタル」、さらに貴重な「ヒメホタル」の華麗な乱舞が見られ、県内外から連日ホタルマニアが訪れ、カメラマンも多く集まる。
ホタルの里は、輝北ダム下流の大鳥川沿いにある。
平房地区の「平房活性センター」にはホタルスポットの案内板が設置してあり、センター周辺ではゲンジボタルを見ることができる。
平房のホタルは天然ホタルで、天然のホタルが見られる場所は県内では少ない。
地区では約20年前から始めた「ほたるまつり」が、途絶えてしまった。祭りは途絶えたが、天然ホタルを一目見ようと毎年ホタルマニアが集まっていた。
地区では再びホタル祭りを開催できないかと2012年に福元和之さんら10人で「ほたる飛ばせ隊」を結成した。
とばせ隊では「ほたるマップ」を作成し、約2㌔の「ほたる観賞ロード」を設定した。
「第13回ほたる祭り」は、5月25日~6月1日まで開催され、期間中は「ひらぼうほたるの里ホームページ」で、ホタルの発生状況などが掲載され、「平房活性化センター」の外トイレが開放される。
ほたる祭りのオープニングイベントは初日の5月25日、地区の平房活性化センター前広場で開催された。
昨年は来場者が多く、会場の駐車場はすぐに満車になり周囲の道路に路上駐車して混雑した。今年は混雑を避けるため、平南地区公民館運動広場か会場の平房活性化センターまでの2キロ区間を午後5時から9時まで無料シャトルバスが運行された。
ほたる祭り会場にはひらぼうホタルの里マスコットの「ひらちゃん」と「ぼうちゃん」があり、いっしょに記念撮影する人が多かった。
会場には地区産のサツマイモとピーマンが、袋に詰め放題で100円。地区の子どもたちは、飲物のペットボトル販売した。
地元産の野菜を使った豚汁1杯が200円、地元産の米を使ったおにぎり2個で100円が、200人分用意され、人気だった。
舞台では少林寺流練心舘鹿屋支部が空手の型を披露し、地元婦人のツバキ会の方々がダンスを披露した。「平房ほたるの里ほたるマップ」を作成した前山愛乃さん(15)に福元和之会長から感謝状が贈呈された。
福元和之隊長が、ホタルは捕まえない、持ち帰らない、転ばないように懐中電灯は足下を照らして鑑賞するなどの注意事項説明があった。
今年のホタルは例年より早い10日程度早くから飛び始め、祭り終了頃まで乱舞し、その後は見られなくなる。
朝8時に鹿児島市の自宅を出てほたる祭りに参加した田中健治さん(61)夫妻は、「昨年参加したらたくさんのほたるを見ることができ、感動した。今年は明るいうちに会場を散策して場所確認して、ほたるを見たい」と、和歌山から霧島市に里帰りした3人はホタルを見て「ここのほたるはきれいだ」と感動して話し、錦江町の48歳夫妻は「今日は見物人が多くてホタルが少ないので、再度出てきて見たい」と話した。
日本には約30種のホタルが記録され、ゲンジホタルとヘイケホタルが多い。大隅地区で見られるホタルは、ゲンジホタルがほとんどで、ホタルの放流が盛んに行われている。平房では放流はせず、天然のホタルだけが乱舞している。
平房はさらに貴重な「ヒメボタル」の生息地としても知られている。
ヒメボタル(姫蛍)は、コウチュウ目ホタル科の昆虫の一つ。日本固有種で、体長7㍉で、ゲンジボタルやヘイケボタルより一回り小さい。頭部と羽根は黒く、前胸は赤くなっているが、ゲンジやヘイケのような中央の黒い筋はなく、前方が少し黒ずむ。メスはオスより一回り小さく、太っており、後翅が退化している。
幼虫は陸生で、カタツムリなどの陸生貝を食べる。
5~6月にふ化し、川辺などの開けた場所ではなく森林内などの人目につきにくい場所で光るので、あまり知られていない。
メスは後翅が退化しており飛行できないため分布地の移動性は小さく、地域により遺伝的特性や体長の差などが著しく、比較的大型のものが分布する地域もある。
成虫の発光は、ゲンジやヘイケに比べると弱いが、鋭く光り、色は黄金色を帯びる。オスは飛翔しながら発光するが、メスは草木につかまった状態で発光する。
ホタルはデリケートな生き物で、車のヘッドライトなどの少しの光にも反応する。
今年の観察会では、ヒメホタル目当てが多く、乱舞する森は混雑した。見物人が多かったので、ホタルは少なかった。
ホタル写真は3~4枚程度撮影し、重ねたものです。