《大隅点描 》
ニッケイを植えよう~ウイルスなど殺す働きフィトンチッド
ニッケイ(クスノキ科)は、根の皮から肉桂が得られるため、古くから庭に植えられ栽培もされよく知られた木でした。
名を「ニッキ」、方言で「ケセン」と称し、子どものころ、直径2センチほどの根を掘り出し水洗いして、そのまま根の皮を生でかじって食べていた。
口と鼻の中がフワフワし香りと味を楽しむ遊び心がありました。
また葉を破ると香りがあり、きなこと黒砂糖粉を混ぜてニッケイの葉の先端部を約2割カットして、葉を指3本で2折りしてスプーンの代わりにその粉を食べていました。
葉からの香りが漂い絶妙な味でした。

また団子をニッケイの葉2枚を上下に挟みセイロで蒸したものをケセンダゴと称し現在も店頭で販売されています。
中でもキビを生産し実を臼で粉にしたケセンダゴは絶品でふるさとの懐かしい味でした。
冬はホットなニッキ湯、ニッキ茶もありました。
販売品には竹棒の先に丸く厚さ3ミリほどのニッキキャンデー、ニッキ飴、ボンボンニッキジュースなどがありました。
このニッキの香り成分は肉桂油で古来から健胃薬として幅広い用途があるとされていました。
ニッケイの木は高さ6メートルの小中木で枝も広げずびょがい中にも強く、筆者の調査でニッケイの葉は、7年間の長命で7年分の葉をつけ、落葉するものは7年前の葉で少なく、庭掃除が簡単で庭木、公園、道路の美観として優れています。
フィトンチッド、1930年にソ連のトーキンが提唱し、樹木から放散され香気成分であるテルペン類が周囲の微生物(ウイルスなど)を殺す働きがあり森林浴の効用があるとされています。
ニッケイの木はその代表格ではないかと思います。
夏はニッケイの木の下でしずむのも楽しみな一つです。
自宅の市道の歩道沿いに高さ6メートルのニッケイ5本を育て真夏の暑さ除けとして通りの人に喜ばれています。
大隅の自然、歴史研究
坂元二三夫