2024年09月04日 17時21分

《雑草 》

平和な信頼関係築くことが一番の安全保障と肌身に感じる

 映画「医師 中村哲の仕事・働くということ」を観た。水や食に関しての内容では、別なコラムで書いた。

 旭日双光章を受章、アフガニスタンでも国家勲章を受章し名誉市民権を授与された。
 その中村さんだからこその語録として「子どもたちや孫たちに良いアフガニスタンを残すこと、それが一番の課題」としている。

 その反面で、「アフガニスタンにいると『軍事力があれば我が身を守れる』というのが迷信だと分かる。敵を作らず、平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だと肌身に感じる。」としている。

 今、国を守るための抑止力を高める、それを達成していくため、国として国を挙げて基地等の整備している。周辺事態を考えるとそれも必要なことなのか、その時期なのかとも思ったりもするが、他方で戦争状態に抵抗できない多くの国民がいる。

 ここ数回、戦後79年で考えていることを記してして、国を守るための抑止力と、武器使用とは表裏一体であり、これまでの歴史と、今世界中で起こっている戦争を考えると、この地球上に戦争は無くならない…と感じる。

 そういうことを前提に、前のめりになってこの「国」を守るためにということ、そして「国民」を守ることとは、同じ意味のようで、実際、戦争が起こってしまうとなると、現実には犠牲になる多くは、抵抗できない国民となるので、中村さんが言うように『軍事力があれば我が身を守れる』というのは迷信…ということになってしまうのか。

軍産複合体、一種のショックドクトリン

 地球上に戦争は無くならない…というのは、どんどん新しく開発されていく武器、そこには軍産複合体という存在があるとされる。

 何度か書いてきたことだが、映画アベンジャーズのファンであり、そのきっかけとなったのはアイアンマン。
 武器商人で億万長者の企業家、トニースタークは、アフガニスタンで自社兵器のデモ実験に参加し、テロ組織に襲われ拉致されてしまう。胸に深い傷を負い捕虜となった彼は、組織のために最強兵器の開発を強制される。トニーは装着することで、圧倒的な破壊力とパワーを発揮できる戦闘用パワードスーツを敵の目を盗み開発。
 敵地からの脱出に成功し奇跡的に生還したトニーは、ある事実を知り愕然とする。自らが社長を務める会社が開発した兵器がテロ組織にも横流しされ使われていて、自分の深い傷も自分が売った武器によるものだという。
 その因果を感じ、その償いをすべく、新たに最先端の技術を駆使しパワードスーツを開発、アイアンマンとして悪と戦う。

 軍産複合体、これはアイゼンハワー大統領が退任演説でこの言葉を使い、軍需産業と政府が経済的、政治的、軍事的に結託した連合体を形成していることがクローズアップされた。

 以前も書いたが、一種のショックドクトリンでもあり、アベンジャーズの映画を観ると、その根底には軍産複合体への痛烈な批判ということなのだろう。

議員からはヤジを浴び、発言の取り消しを求められた

 中村哲さんの話に戻る。
 「信頼関係があること、これが武器よりも一番大切なこと」というメッセージ。
 そして9・11同時多発テロの犯人をかくまったとして米軍などがアフガニスタンを攻撃した際に、自衛隊による後方支援を可能とする特別措置法案が国会で審議され、中村さんは参考人として特別委員会に出席し「自衛隊派遣は有害無益」と強調、必要なのは飢餓対策だと訴えた。

 議員からはヤジを浴び、発言の取り消しを求められたという。

 映画の中では、7年かけ水路を造る作業の中で、米軍のヘリや飛行機が上空を飛び交うシーンが映し出されていた。
 タリバン支配地域へ空爆、B-2やB-52など戦略爆撃機、空母から戦闘機による攻撃、巡航ミサイルも多数使用され、市民約4万6000人が死亡したという。大干ばつで苦しんでいる中で、追い打ちをかけるように…。
 そうした現実を目の当たりにしているからこそであり、日本にいる私たちにはできない発言だと思う。

 そして、「僕は憲法9条なんて、特に意識したことはなかった。でもね、向こうに行って9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる」と語ったという。

 前回、「突き詰めて考えてみると憲法に新たな意味が付された」と題して書いたが、「平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だと肌身に感じる。」という中村さんの発言を、戦争に抵抗できない国民として今一度、立ち止まって考えるときなのかなと思う。(米永20240904)

最新の記事

合計 1400 件中 1ページ目を表示

カテゴリ最新記事