2024年09月15日 15時37分

《おおすみ雑記 》

有事で兵糧攻めされたらどうなる日本

 「食」ということを、改めて考えてみようと思ったのは、何か自分の中で腑に落ちないものを感じているからだ。
 今、自民党総裁選、立憲民主党の代表選で、この国の未来、舵取りをしていくリーダーを選ぶための論戦が繰り広げられ、その以前から、例えば憲法について、緊迫した国際環境がありこの国を守るために、有事を想定して自衛隊を明記し改正をしていくと論じられている。

 有事ということをいえば、「食」はもっと違う視点から現実的なものだと感じていて、杞憂だと言われるかもしれないが、食の自給率がカロリーベースで38%、飼料自給率は27%だという。
 昭和40年には73%あった食の自給率が約半分、同じように飼料自給率も昭和40年55%から27%になっていて、鈍化傾向にはあるが低下し続けている。

 今、間接的にロシアーウクライナ戦争で、他国も影響を受け、飼料もどんどん値上がりして農業も大変、物価もどんどん上昇して生活しにくい社会になっている。
 それも直接当事者となっていないのにだ。

写真=我が国の食料自給率(農水省HPから)

 そうした中でも、この国を守るために軍備増強をと言い、有事に備え防衛予算増を進めている。
 だが、有事に備え軍事を備えても、もし仮に日本が直接当事者となり実際有事ということになった場合に、昔の戦でいう兵糧攻めをされた場合、いくら迎撃ミサイルなど軍備を整備しても、日本は果たしてどれくらい持つのだろう。

 異常気象や台風の影響もあり、店頭にお米が無くなったと騒動する日本。備蓄米があるというが、もし戦争当事者となり、敵から兵糧攻めをされたとしたら、日本という国はどれくらい持つのか、今回の総裁選、代表選でそういう議論や政策は全くと言っていいほど無い。どうかしていると思う。

 ましてや飼料自給率は27%、広大な国土を持つ大国は、ミサイルや核という話をしないでも、武力を使わず日本という国を攻めることができるのだろう。そして兵糧攻めでは、昔の城でなく、国が対象とされるなら一番苦しむのは国民だと思う。それこそが有事だ。

国民に優しくない政治が行われている

 安保法案を整備し、軍事増強をして戦争ができる国にするのなら、並行してこの食料と飼料の自給率を上げる政策、並行してというより、先行して行うべきだと思う。今でさえ、物価高で国民は喘いでいる。

 下種の勘繰りと言われそうだが、これだけ自給率が低いままで放置しているのは、また、他国を侵略して補給すればいい、あるいはどこかの国が援助してくれると考えているのだろうか…。

 自然豊かな鹿児島はまだいいのかもしれない、東京など都会はどうだろう。ただ有事となればそういう問題も飛び越えた現実となるのだろう。

 今、有事とかいうことを直接言葉にするというわけでもないが、「農」に加え「食」を意識する人たちが周辺に増えてきている。
 そういう人たちと接しながら感じるのは、今の国会や総裁選、代表選の論争を聞いて、国民に優しくない政治が行われているということであり、政治とはなんだろうと改めて感じる。

有事の軍備というなら、有事を見据えた食料政策は?

 話が飛躍し過ぎたのかもしれない。ただ、この自然豊かな大隅半島、あまり好きな言葉ではないが食の供給基地と言われるこの地だからこそ、今出来ることはなんだろうと考えた時に、企業や大規模農家主体の輸出奨励もだが、「自給」ということを自分たちのこととして真剣に考えてみる農業が、もっと話し合われるべきだと思う。

 そうした議論をもとに足元を照らしてみると、企業や大規模農家で使われる飼料自体が輸入ものが多く、自給という原点に返って考えてみるならば、灯台下暗しな逆行している農業とも言えるのか。

 なので、産業としての農業、農薬や窒素リン酸カリという肥料を永遠に使い、ある意味、人の手を加え自然の調和を壊しながら一定の量を確保していく農業ではない発想も必要となってくると考えたりする。
 
 単に農法の問題だけではなく、経済優先の産業としての農業に向かい、規模を拡大するればするほど、地球環境をおかしくしていく傾向にあり、今その過渡期のような気もする。

 地球そして人類、国民を守るという基本の基本、私たちの命のもとになるものを真剣に考えるとき、この大隅半島だからこそ出来ることがあるような気もしている。
 
 そういう人たちが集まり、自分たちを守り、地球を守っていくという人たちが多くいる大隅半島というのも、その地域の特性にもなると思う。ちょっと大げさかもしれないが…。

 そして今は、言わば平時の農業政策、そこにも満たない現実があると感じるが、有事の軍備というなら、有事を見据えた食料政策が本当に必要なときなのだろう。
 国が意識しないのなら、この地域で考え、個々人で考えていくしかないのかもしれない。

 話がだいぶ逸れた感もあるが、そこで行き着くのが、無農薬や無化学肥料を前提としながらも、そこを飛び越えて、「食」に直接結びつくベースとなる、水と二酸化炭素と太陽などの「植物の基本」ということだ。
 それをベースに、成功している人たちもいる。(米永20240915)

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