2025年04月15日 07時35分

《雑草 》

現職の2期目の当選~南大隅町長選を終えて

 南大隅町長選は、現職が2新人に大きな差をつけて2期目当選を果たした。

 コラムや本記事でも書いてきたが、ここ何回かの南大隅町長選の行方は、一自治体だけでなく大隅半島全体にも関係する選挙だと感じ注視してきた。

 今回の選挙では、表面だって争点にはならなかったが、核廃棄物処分場建設誘致。
 その行方に危惧するものがあった。前回、同施設誘致を前面に押し出して選挙戦を戦った田中けい氏の存在があり、4年前は687票を獲得。

 取材をする中で、前回のこの得票があったからこそ、この地元の期待に応えるためにも続けて出馬を…と強い意欲を示されていた。

 前回の選挙事務所は、どちらかというと首長選としては狭いスペースだったが、今回、金融機関跡の建物を早い時期に事務所にして、田中氏も早めに住民票を移し、スタッフも増え、かなり周到に準備をされて運動が進められてきたという印象があった。

 田中氏自身もいろんなイベントやグラウンドゴルフにも出掛け、過疎化や人口減少、高齢化率が進む自治体にあって、氏が訴える公約や政策には、訴える何かを感じている町民も少なからずいたとも感じていた。また、過去の選挙に出馬した陣営が支援に回ったなどの情報もあり、これまでとは違う混沌とした構図も。

 若い世代や70代男性の中には、このままではこの地域は疲弊していくばかり、何か新しい息吹、これまでとは違った何かアクションを起こすときだ…という声も聞いていた。

田中氏への票の行方に大きな注目

 そうしたこともあって田中氏の前回の687票がどれほど上積みされていくのか、ほか2陣営のどちらに多く食い込んでいくのか、町内、また町外でも関心のある人たちの中で話題にもなっていた。

 そして選挙戦終盤になり、少しずつ聞こえてきたのが、いわゆる「勝ち馬に乗る」という言葉。
 今回の選挙の中で、いわゆる浮動票がどれだけあったかのか、特に前回も79%、今回も80%という投票率でもあり、告示があってから投票先を変えたという有権者がどれだけいたのかは分かりにくい。雪崩現象は起こったのか?

 ただ、4年前の有権者5921人から695人減っての選挙戦でもあり、今回の田中氏の得票は453票で234票落とし、当選した石畑氏も2562票から467票減での当選。
 前回のもう一人候補の水谷氏は1425票で、比較してはいけないのだろうが、今回愛甲氏は1561票。

ネットやSNSでの情報発信は侮れないし、難しい時代

 これらの数字を見てみて、田中氏の得票は、前回の支持者層からさほど大きく動いていないという結果なのだろうか。他の陣営の票にも食い込まず…ということか。

 危惧していた大隅半島に核廃棄物処分場ができるという流れが選挙により作られるのだろうか…という考えは、町外に住んでいるからなのか、杞憂で終わったということなのだろうか、正直、驚きの結果でもあった。

 投票日当日も、昼間の取材、鹿屋市民との会話の中だったのだが話題になり、「今回の選挙は分かりづらい、利益誘導型の選挙となってしまうのだろうか」…という話にもなっていたからだ。

 第一次産業が基幹産業という大隅半島、観光立国を目指す鹿児島県でもあって、もし核廃棄物処分場誘致が現実に進んでいった場合、今、かなりの揺れがある地震がこの大隅半島でも続いている。

 また桜島が大きな噴火をし、あるいは霧島連山での噴火があり大きく報道されることで、実際の被害はなくとも、噴煙が上がる映像が流され周辺のホテルや旅館の営業にも影響が大きく出てしまう。

第一次産業を大事にし大自然を大切に思う一つの大きな選択か

 今、ネットやSNSでの情報発信は侮れないし、難しい時代となっている。
 そうしたことを考えると、風評被害だけでも大変ではないか、いったんそうしたイメージがついてしまうだけでも、日本一という食材が結構ある県や半島への影響、観光地としての影響はどうなのか、それらは将来のことなのだろうが、今の私たち大人がそうした方向性を選択してしまうのだろうか…。

 今回の選挙には直接関わってはいず、言い様がよくないのかもしれないが、その結果は第一次産業を大事にする、この大隅半島の大自然を大切に思う町民の一つの大きな選択だったのだろうかと思う。

 危惧する思いが強い文章、記事になってしまった部分もあり、今回のこの結果に、何かまた違った角度からの思い、選挙戦や地域への思いを改めて書き記していきたいと思うし、石畑町政の2期目の舵取りに大いに期待し、また取材を続けていきたい。(米永)

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