2025年04月11日 07時28分

《選挙 》

これまでにない難しい選挙戦か~13日投票の南大隅町長選

 任期満了に伴う南大隅町長選挙は新人と現職の三つ巴の激しい戦いとなり、いよいよ13日投開票となる。


 今回は、新人で前回も出馬した元衆議院議員秘書の田中彗氏(42)、新人で町元企画観光課長の愛甲真一氏(58)、2期目を目指す現職の石畑博氏(69)との三つ巴の戦い(届け出順)となり、激しい選挙戦が繰り広げられている。


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 田中候補は、3新人が争った前回の選挙で、核廃棄物処分場誘致を前面に打ち出し687票。石畑氏2562票、水谷氏1425票という結果だったが、今回、その687票を基礎に、さらに上積みを図ろうと早くから活動。

 今回、自衛隊関連施設建設、民間ロケット発射場整備による企業誘致、それらによる地域振興を訴え、建設関連や漁業関係者、過疎化や高齢化が進む同町で若い世代にも訴えが届き、また町のイベントやグラウンドゴルフにも参加しお年寄りとの距離を縮めるなどの動きで、同町の選挙通によると1000票、あるいは倍増する勢いではないか…とも伝えられている。


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 愛甲候補の出陣式には、前町長の森田俊彦氏が応援演説を行い、愛甲氏の訴えも「今のままではいけない!」と訴え、現行政、事業の検証や見直しをと選挙戦を戦っており、現職との対立軸を強調。

 現職は町幹部から町長、愛甲氏も町幹部からの出馬で、現職と町の組織等を二分する形で選挙戦が繰り広げられ、世代間、あるいは前回の選挙を引き継ぐような、また8年前の前々回、森田氏が3799票だった選挙の構図を今回にどう引き継いでいくか、さらに昨年9月に退職してから町内をくまなく回り、その声を一覧にしたビラも作成。その浸透度を図っている。


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 石畑候補の出陣式には、県議や周辺首長、町の各種団体の長らが応援演説。現職の強みを生かして、また幅広い行政経験と1期4年間の実績を訴え、1期目での半ばの事業をさらに継続して任せて…など、2期目当選に強い意欲を示している。

 中でも、高齢者福祉、子育て支援、自治会支援や第一次産業振興など幅広くその実績と今後の展開を訴え、稼げる農林水産業や根占新港の整備促進など具体的な施策も展開していくとしている。また「町民に喜んでいただける町づくり」「町民生活を最優先で守ります」と、今現在の町民のために事業をしっかり執行していく…など、「継続は力なり、次も…」と訴えている。

三つ巴の戦いが混沌と

 前回の得票を振り返ると、石畑氏は2562票、田中氏687票、これに愛甲氏が早くから動き、まさに三つ巴の戦いとなっている。

 特に田中氏は前々回の選挙でもいったん立候補の声を挙げたものの撤回、他2候補には知名度では劣るものの、8年前からの動き、特にこの4年は、早くから住民票を移し、選挙事務所を早い時期に後援会事務所として拠点づくりを行い、訴える内容からも支持層を広げている様子だ。

 愛甲氏も「今こそ若い世代にバトンタッチ」「新しい地方の時代」など訴えの浸透度を図っており、基幹産業を守る、子育て環境の充実など未来につなぐ5つの約束を訴え、半年前の訴えと、151日間で3157人の声を聞いて101の声として示した内容にはさらに厚みを加え、その内容に説得力が増している。

 石畑氏は前回2562票、これを1期目の実績をもとに死守。町民生活支援や産業振興支援、子育て支援、自治会支援などより具体的に訴え、小さな町だからこそできることをやってきたと、第一声でも6000人町民の顔が分かる…という旨の訴えをし、より身近な町政、現職としての強みで2期目を目指している。

前回の投票率は79.94%、上回る勢いか…

 前回の投票率は79.94%。今回3者3様の動きでこれを上回るのでは…ともされ、3月1日現在の選挙人名簿登録者数は5243人。投票率80%とみて4194票、単純に3で割ると1398票。

 例えば、現職と新人とで対立する選挙の場合は、組織と草の根という形で表現される。石畑候補と愛甲候補という場合はそうした構図となるだろうが、三つ巴の戦い。

 しかも今回、田中候補が、前回の核廃棄物処分場建設を前面に打ち出し戦ったものの、今回は表立っては訴えてない。ただ第一声が辺塚打詰地区であり、ここは、採石場跡等がその処分場建設候補地ともされていて、ここで選挙戦をスタートさせたことは、その思いの強さも垣間見える。

 石畑候補も愛甲候補も討議資料の中では、処分場誘致には否定的な文言が示されている。これに対して前回の田中候補の核廃棄物処分場建設への強いメッセージに賛同する業界や世代も引継ぎ存在し、さらにそれがパワーアップされている感も否めない。

水面下の争点が町民にどう映っているのか

 前回、前々回の争点が大きく後退した感じの選挙戦だが、水面下での動きが見え隠れし、そこを町民がどう判断するのか。あるいは表立って争点になっていない選挙戦を、そのまま受け取って投票行動に移す有権者がどれほどいるのか。

 これまでにない難しい選挙戦となって、いよいよ13日の投票日を迎えそうだ。(米永)

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