2025年08月05日 11時25分
《大隅点描 》
新燃岳火山の推移~2012年の噴火と見比べて…
新燃岳の旧火口原湖は幅80m、深さ約150mであったが、2011年と2018年のマグマ噴出によりドーム状の溶岩原となって出現し、一部は北火口壁を超えて流出した。

写真(2012年)に見るように、マグマ上昇地帯と噴石、火山灰を噴き上げる噴気孔は別々の役割を果たし活動している。
どろどろとしたマグマは急火口湖底の堆積物を押し上げ、巻き込みながら上昇しドーム状となっているのが見える。
ゴォーっという噴気音は写真手前にある噴気孔(直径2m、火道直径7m)から発し、ガス抜きの役割も果たしている。
新燃岳に限っては噴気孔からマグマが上昇することはない。
このマグマ上昇地帯と噴気孔は旧来から存在し、噴火活動が繰り返されている歴史がある。
今年6月22日に7年ぶりに噴気孔から噴火があり、活動期に入っているが、噴出物のほとんどがマグマ上昇地帯の底部が高温ガスによって熱せられ、どろどろにとかされ火道を伝って噴出しており、7月3日の噴出物は水蒸気を含んだべとべと、ネバネバしたベント噴火であろうと思われる。
産業技術総合研究所が撮影した映像を見ると、そのベントが火口斜面を流れ下っている跡が見られる。
いずれマグマ由来の溶岩ドームの堆積物は風化と通常の火山噴火により火口外へ搬出され、長い時を経て、旧火口湖へ戻ると思われる。
もしマグマが上昇したとしたら、再び火口壁を超えて流れ下るはずである。
写真は2012年に南火口壁から撮影し、手前に噴気孔、中央に巨大なマグマ溶岩ドーム、瀬に北の韓国岳を望む。
7月(前回)に紹介した写真と見比べてみてください。
旧日本火山写真協会会員
大隅の自然、歴史研究
坂元二三夫