2023年12月31日 14時27分

《農林水産 》

曽於市の持続可能な発展にアニマルウェルフェア実装化を

曽於市における関西大学経済学部による政策提言報告会

 曽於市における関西大学経済学部による政策提言報告会が、令和5年12月27日、曽於市役所で行われ、曽於市の持続可能性、アニマルウエルフェアについての提案があった。 

写真=発表するゼミ生

 曽於市と関西大学経済学部による連携協定の概要は次の通り。
 平成27年に関西大学教員が地方の雇用創出の研究において,自然豊かな大地に恵まれ,畜産を中心とする農業のまちである曽於市を調査対象としたことをきっかけに、平成31年3月25日に曽於市と関西大学経済学部の連携協定を締結。
 【具体的な連携事項】
(1)地域の活性化に関すること
(2)大学の教育研究活動及び課外活動の展開に関すること
(3)人材の育成に関すること
(4)その他,両者が協議して必要と認めること
 後藤教授が運営するSKIMA Project (スキマプロジェクト)では,ゼミ生が曽於市の企業や農業従事者等への聞き取り調査・住民アンケートを通して,経済学の観点から雇用創出や地場産業振興への政策提言を行っている。

写真=市職員や調査協力企業らが参加

 この日は、関西大学経済学部の後藤健太教授によるあいさつのあと、後藤ゼミの次のメンバー(敬称略)による政策提言があった。

西垣恒星、吉嶋奈央、瀬戸美晴、LE THI THUY DUNG、梅田小春、阿部ことみ、木田庸介、Ji zhenyi、伊藤慧佑、巽羽雪、内藤里奈、築城サヤ、静尚樹、田中悠太、秋葉啓希。

 後藤ゼミのSKIMA Projectは、曽於市の持つ課題を解決し、持続可能な発展の道を共に考える…というもの。

 曽於市の持続可能な発展の為に、アニマルウェルフェアを実装化した差別化戦略を行い、産業の高付加価値化を実現するという目標。
 そのアウトラインは、曽於市の持続可能性、カテゴリーイノベーションとストーリー、アニマルウェルフェアについて、曽於市の現地調査の結果と欧州のアニマルウェルフェアの基準について。

写真=講評する五位塚市長

 提言では、価格競争の中での差別化、新しい価値としてのイノベーション、その思いを伝え共感してもらうという戦略として「アニマルウェルフェア」の可能性を探る。

 アニマルウェルフェアを外国と比較し、アニマルウェルフェアは日本でもスタンダードになれる…として、同大学千里山キャンパス学生348人にアンケートを取った。

 養鶏の場合、ゲージ飼いよりも平飼いのほうがいい82%という結果などからして、アニマルウェルフェア~畜産動物にも愛を~、人と動物をつなぐ、本来の持続可能性畜産へ、畜産の新たな挑戦を私たちが始めます…などと提言した。

写真=質疑に応える学生

 五位塚剛市長が「曽於市でスタートする南九州畜産獣医学拠点では、常に一定の風を送り、環境に配慮した他にない新たな牛舎で画期的な施設となる。

 アニマルウェルフェアは、日本全国の畜産農家で興味があることで、提案されたことが当たり前のようになっていくのだろうが、今の日本の経済とのかかわりを見ていくと、現実化はどうなのか、どうしても安価なほうへ流れていく。

 ストレスのたまらない養鶏、大型化は難しいし、消費者も胸中認識が必要であり、提案いただいた価値観を持つ農家もいるので、それら農家の指導も受けながら頑張っていきたい」など講評。

写真=質疑する参加者

 学生らによる調査に関わった企業や農家も出席しており、質疑応答では、「アニマルウェルフェアでの経済的な需要と販路についてはどう考えているか」

 「日本ではアニマルウェルフェアがなされていないという印象を受けたが、私たちも欧米以上に動物に対する愛情を持っているつもりで不本意」

 「アニマルウェルフェアの認証制度のグローバルスタンダードがない中で、どういう形で進めていくのか」

 「曽於市のど真ん中のテーマであるが、何か響くものが足りなかった」などの厳しい意見も出されていた。

 調査協力企業等は次の通り(敬称略)。
アグリおおすみ、サテライツ、センリファーム、ナンチク、環境ファーム、ひこちゃん牧場、丸山人工授精、南九州畜産獣医学拠点、上岡人工授精、全農チキンフーズ、県立曽於高校、曽於中央家畜市場、大成畜産、末吉元気牧場、曽於市役所、ウェルフアムフーズ。

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