《伝統 》
900年以上の伝統を誇る四十九所神社の流鏑馬
900年以上の伝統を誇る肝付町新富の四十九所神社の流鏑馬(やぶさめ)が令和6年10月20日、同神社前の宮之馬場で開催された。
一昨年まで新型コロナウイルス感染症予防のため、無観客として開催されたが、昨年から通常通りに開催され、特殊神事の鏑流馬奉納があり、神社周辺ではやぶさめ祭が開催された。
流鏑馬は四十九所神社前にある宮之馬場で、若武者が疾走する馬上から60㎝角の3本の的をめがけて次々に鏑矢を9本放ち、8本が命中し、来年の豊作を占った。
毎年10月19日に行われていたが、近年は10月第3日曜日に開催されるが、今年は10月20日に開催された。
射手は毎年変わり、今年の射手は同町新富の高山中学校2年生の「武田創」さん。武田創さんは、同町新富に父の武田裕史さんと母の純子さんと、住んでいる。
射手の武田創さんは、流鏑馬の射手にならないかと、流鏑馬保存会から話しがあった。「最初に話しがあった時は空手で忙しいと断ったが、2回目の話しのときに、祭りは900年の伝統があり途絶えるのはもったいないと思い、射手になることを決断した。」と、父親の裕史さんは「責任感があり、自分でやると決断したのであれば、手伝います」と、母親の純子さんは「決断を聞いてびっくりしましたが、光栄なことと思います」とそれぞれ話した。
9月1日、流鏑馬練習安全祈願祭が旧大隅線跡地で行われた。晴天に恵まれ、射手の家族と流鏑馬関係者が集まって行われた。
馬場と道具などの清め祓いがあり、大田四十九所神社宮司が安全祈願の祝詞奏上し、射手などが玉串奉奠して、安全を祈願した。
練習は順調に進み19日に、四十九所神社の馬場で最後の練習を終えた。
10月20日は神社から東串良町の柏原海岸まで馬上に跨がり徒歩で神幸し、海水で身を清める「潮かけ」の儀式が行われた。
本番前の深夜、高山川でさらに身を清めて流鏑馬に臨んだ。
流鏑馬パレードが終わると、四十九所神社で「弓受けの儀」があり、神殿に保存されている特別の弓を授かり、その時に少年は「神」になった。
少年は鮮やかな紫の狩衣姿で、頭上には綾藺笠(あやいがさ)を戴き、午後2時過ぎに鏑流馬奉納する四十九所神社前の宮の馬場に、神馬に跨がって姿を現した。
神社前広場を右へ3回廻り、花吹雪を舞い散らしながら、約330メートルの馬場を疾走し、矢は放さない試しの「空走り」を行った。
いよいよ本番の第1走では再び花吹雪が舞い、さらに軍扇が投げて疾走した。
最初の1番的に放つ白羽の矢は見事に的中し。今年は9本中8本が見事に命中し、末広がりの八本の矢が命中した。さらに籠もり矢が4本当たり最高の結果になり、来年は豊年満作と占った。
流鏑馬を終えた射手は「籠もり矢が4本当たって嬉しかった。やってみると出来ることもある」と、父親の裕史さんは「無事に終わってほっとています。」と話した。
会場周辺と高山川河川敷広場で「流鏑馬祭」が開催され、たくさんの出店が出てにぎわった。
河川敷イベント広場では、漁協が地魚の唐揚げの振る舞があり、観光協会はえっがね(伊勢エビ)味噌汁の無料配布を行った。町特産品の重量当てクイズなどもあった。
岩手県大船渡市から届いた鮮さんまを、岩手県から届いた木炭を使い、公認サンマ焼き師が目の前で炭火焼きした。サンマは1匹300円で販売され、収益は東日本大震災の復興支援にあてられる。
午後3時から祭りの締めくくりとしてヤッサンおどりがあり、市街地の道路を文化協会などの踊り連が踊り賑わった。