2024年05月08日 09時00分

《雑草 》

鹿屋基地での「無操縦者航空機の試験的運用」その後は…

 前回記した「常設の統合司令部創設」については、次の説明もある。
 
 有事の際などに陸・海・空の各自衛隊を一元的に指揮する必要がある場合には「統合任務部隊」を設置することになっているが、防衛省は宇宙やサイバー・電磁波などの分野に、日頃から対応する必要性が高まっているとして、常設の「統合司令部」という組織を新たに設置する。

 240人程度の規模で、防衛省のある東京、市ヶ谷に設置する方針で、必要な経費を予算案の概算要求に盛り込む。

 統合司令部の設置により、これまでは自衛隊制服組トップの統合幕僚長が防衛大臣の補佐に加え、作戦指揮も担うことになっていたが、作戦指揮については統合司令部のトップが担うことになり、役割分担ができるという。

 加えて、先月の岸田総理大臣訪米時に、バイデン大統領と会談した際、自衛隊とアメリカ軍の指揮・統制の向上など、防衛協力を深めるとともに、経済安全保障や宇宙など幅広い分野での連携強化を確認し、自衛隊とアメリカ軍の指揮・統制を向上させることで合意している。

 そして、統合司令部設置後は、陸海空自衛隊トップの各幕僚長と同格の統合司令官が部隊を指揮し、アメリカ軍との作戦の調整にもあたるという。

統合司令部とインド太平洋軍との間で展開

 東京の米空軍横田基地には在日米軍司令部があり、陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊と、宇宙軍を除く軍隊が展開してきたが、自衛隊とアメリカ軍との調整は、統合司令部とハワイに司令部があるインド太平洋軍との間で行われていくとされている。

 在日米軍司令部は、指揮系統としては、アメリカインド太平洋軍の傘下にあり、アメリカインド太平洋軍司令官は、代々海軍大将が就任、インド太平洋軍の担当地域内で活動するアメリカ合衆国軍の各種部隊に対して最上位の軍事指揮権を持つ。

 インド太平洋軍司令官よりも上位の指揮権を持つのは、アメリカ軍の最高司令官である合衆国大統領、および統合参謀本部の助言を受けた国防長官の2人のみという。

日本におけるアメリカの作戦指揮の機能を高める

 日米では、この統合司令部とインド太平洋軍とで連携をより強め、円滑にするため、それぞれの部隊の指揮・統制を向上させ、さらに実践的な訓練が行われていくことになる。

 そしてバイデン政権で安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は「日本におけるアメリカの作戦指揮の機能を高める」と述べ、在日米軍の指揮統制の機能強化が、今後焦点の一つとみられている。

 今、陸上自衛隊では、米陸軍や海兵隊との実動訓練、共同訓練が南西諸島を中心に実施されている。

 また南シナ海では、中国海警隊、沿岸警備隊の船がフィリピンの沿岸警備隊船に放水砲を浴びせ大きな問題となっている。

 中国とフィリピンの双方で、スカボロー礁付近の海の領有権を主張しており、フィリピン政府はマルコス・ジュニア大統領の下、この海域での中国の支配に対抗するため、パトロールを強化。

 中国沿岸警備隊は、船が「侵入」したのを受け、必要な措置をとったとし、この海域における攻撃的な対立はこの1年で、より頻繁になっている。

すでに路線はひかれているようだ

 ここに海上自衛隊がどういった形で関わっているかは、鹿屋基地の役割等も具体的な情報がないので分かりにくい。

 ただ、鹿屋基地での「無操縦者航空機の試験的運用」が行われ、それは我が国周辺海域の警戒監視等各種任務への適合性確認が内容とされている。
 
 防衛省資料によると、周辺国の活動の拡大・活発化など、一層厳しさを増す我が国の安全保障環境の下、自衛隊の対応が求められる事態が増加しており、かつ、そのような事態における対応も長期化しつつあります。

 このため、広域において常時継続的な警戒監視・情報収集を行い、各種兆候を早期に察知する態勢を強化する必要があります。

 令和2年度の海上保安庁による無操縦者航空機の飛行実証結果により、無操縦者航空機は長時間航続性能、P-1と同等以上の目標検出能力等を有し、海上自衛隊の警戒監視・情報収集等の任務の一部に活用できる可能性を確認しました。

 無操縦者航空機が海上自衛隊の任務に適合し、態勢強化に資することを確認するため、海上自衛隊は、無操縦者航空機の試験的運用を令和5年度に開始しました。
 とある。

 試験的運用期間は、令和5年5月9日~令和6年9月頃で。その後に関しての具体的情報は今のところ無いが、我が国周辺海域の警戒監視等各種任務への適合性が確認された場合、今後の基地の施設整備とともに、その役割がより大きくなっていく。

 直接的ではないので分かりにくいとは思うが、すでに路線はひかれているようだ。こうした情報もこの欄で少しずつ伝えていきたい。(米永20240508)

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