《宇宙 》
打上は成功と判断~鹿児島ロケット5号機 霧島レイ号
鹿児島ハイブリッドロケット研究会と肝付町が共催で実施した小型ハイブリッドロケット(鹿児島ロケット5号機 霧島レイ号)の打上げ実験報告会が令和6年4月30日、鹿児島市の鹿児島大学で行われた。
鹿児島ロケット5号機霧島レイ号は2月28日午後2時30分、肝付町辺塚海岸から打ち上げられ、打上は成功。
昨年の打上ではパラシュートの不具合でロケットの発射後直ぐにロケットは回転して地上に落ちてしまったが、今年の打上はロケットは順調に上昇して辺塚湾に着水し、回収船が現場に向かった。
打ち上げ当日の午後4時頃、発射場司令室前で記者会見で片野田洋代表は「ロケット本体は残念ながら回収出来ませんでした。パラシュートは機体から離れた状態で回収出来ました。データは(本体にある)メモリーが回収出来ていないが、無線でデータが得られた。無線データを見るとパラシュートの2段階展開には成功しており、昨年の前回打上と比較するとたくさんのデータが回収できた。
しかし、パラシュートと機体と繋ぐひもが切れて、2回目のパラシュートと機体は回収できなかった。向かい風のために機体を寝かせるような角度で打ち上げたので、高度はあまり上がらなかったと思います。本日の実験は70%のできでは」と話した。
4月30日鹿児島大学工学部での打上実験報告会では、まず主要諸元と前4号機からの改良点が説明された。
ロケット主要諸元は4号機とほぼ同じで、機体全長2.6m、直径140mm、質量20kg。燃料・酸化剤は、アクリル樹脂等と液体酸素。
ハイブリッドロケットは、高分子化合物の固体燃料を液体又は気体の酸化剤で燃焼させるロケット。燃料が爆発しない安全性が最大の長所。アクリル樹脂等の燃料を液体酸素で燃焼させる方式を採用しており、有害物質を使っていないため、海を汚染しない。
昨年3月に打上げた4号機は、パラシュートの早期開傘により、期待していた軌道とは異なる飛行経路となった。
5号機の改良点は、パラシュート2段階放出機能の改良、2個のモバイルバッテリーの電源投入の無順序化、液体酸素リザーバをステンレスからアルミ化して軽量化などで、65人が実験に関わった。
打上は2月28日午後2時30分。天候は曇りで地上の風は秒速東北東5.2メートル。
ロケットは正常に発射し、気体は間もなく雲の中に突入したため、パラシュートが開いたか確認できなかった。回収船が辺塚湾の北側と南側で待機しており、パラシュートと浮き袋は回収したが、気体の姿たはなかった。機体は海上警戒区域のほぼ南端に落下したと推察される。
最大の課題であるパラシュートの2段階放出は成功し、飛行データは4号機の10倍程度に増加した。これらのことにより、打上は成功と判断した。
機体とパラシュートを結ぶひもが破断し、ロケットの降下速度が速くなり、海況不良も影響し、ロケット機体の回収はできなかった。また、地上局でGPSデータは受信できなかった。
機体の到達高度は1・1kmだった。
次期の6号機計画は、機体とパラシュートを繋ぐ紐の強度向上。GPSデータを確実に機体で受信し、地上に送信。機体への浮力の付与。資金確保。