2024年07月15日 07時30分

《宇宙 》

小型固体ロケットの挑戦~楠隼高でシリーズ宇宙学

 「シリーズ宇宙学」として宇宙ビジネス人材育成プログラム特別講義が、令和6年7月11日、肝付町の楠隼中高一貫校であり、高校1年生54人が受講した。

 肝付町は、昨年度に引き続き、県立楠隼中高一貫教育校で特色ある教育活動、「シリーズ宇宙学」の宇宙ビジネス人材の育成プログラムを支援してきた。

 昨年度に続き2年目で、これまでの人工衛星の内容に加え、今回は初めて「ロケットのまち」肝付町ふさわしい宇宙輸送に係る講義内容。
 今回は現在13社が起業しているJAXA認定スタートアップの講義で、町内の学校では初めて。

 楠隼中高一貫校は鹿児島から世界を見通すリーダーを育成することを目的に、併設型中高一貫教育校として2015 年に開校した全寮制の男子校。
 楠隼高校での宇宙ビジネス人材育成プログラムは、生徒が宇宙ビジネスへの理解を深め、今秋以降、自らがテーマを設定した探究活動に取り組むことで、広い視野や好奇心、冒険・探究心、ものづくりの心を育むことを目指すことを目的として、全5回の宇宙ビジネス人材育成を目指した特別講義を実施する。

 特別講義の講師は肝付町と包括連携協定を今年6月24日に締結した千葉工業大学教授で、JAXA認定スタートアップ企業の株式会社ロケットリンクテクノロジー共同創業者である和田豊氏が、「小型固体ロケットの挑戦」の演題で特別講義を実施した。

 講師の和田豊氏は、株式会社ロケットリンクテクノロジー共同創業者で、千葉工業大学教授。学生時代に内之浦宇宙空間観測所で観測ロケットやM-Vロケットの打ち上げに立ち会った。

 打ち上げ成功に向け、実験メンバーが一丸となって打ち上げ準備作業に取り組む姿を間近で体験し、自らの手でロケットを研究開発し宇宙に届けたいと強く思うようになった。

 卒業後は大学教員としてロケット研究に従事し、研究成果を土台に低コストで量産可能な新しい固体ロケットに取り組むロケットリンクテクノロジー社の設立した。起業までの高いモチベーションは肝付町に与えてもらったと思い、宇宙に手が届く町でより多くの若者が宇宙を目指す契機となり、日本の宇宙産業の成長に強く寄与することを願っている。

 株式会社ロケットリンクテクノロジーは宇宙への敷居を下げ「誰でも宇宙で活躍できる社会」の実現を目指して、低コストで量産が可能な革新的固体ロケットの開発に挑戦するJAXAベンチャー。キーテクノロジーとしてLTP(低融点熱可塑性推進薬)の研究開発に取り組み、新しい打ち上げ方式/回収方式の研究やロケット技術を活用した教育・人材育成などを展開。リンクとは、このようにロケット技術を通して人と人をつなげることを意味する。

 「革新的」と期待されるLTPは、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)が開発したもの。
ロケットリンクは、JAXAが保有する知的財産や知見を活用した事業を展開するJAXAベンチャーとして認定され、相模原市に設立。代表は、初代イプシロンロケットプロジェクトマネージャー森田泰弘氏。

 7月11日の講義は自己紹介後、「日本の宇宙開発」のテーマで話した。
人工衛星「おおすみむの打上は世界で4番目で、日本の宇宙開発は遅れている。
 「宇宙とシステム工学」はプロジェクトマネジメントで、仕事を管理運営し、成功させる手法だ。

 アポロ型のプロジェクト・マネジメントを成功させるには、目的を明らかにしてどのような作業をするのかだ。

 「ビジネスとしての宇宙」。かつては国家プロジェクトとしての宇宙だった。現在はビジネスとしての宇宙で、世界で120兆円の世界。
 
 現在、ロケットが不足している。固体ロケット量産化技術LTPは300キロ上空まで打ち上がるロケットを目指している。

 出水出身で1年生の切通正義さんは「将来は銀行、証券会社などを併せ持ったいいとこ取りの企業を立ち上げたい。私の構想は宇宙産業とは違った企業だが、人をどうまとめるかという問題が参考になった」と話した。

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