2024年11月28日 18時33分

《雑草 》

とても複雑な社会 一元的な考えでは答えのない問いかけに

 文部科学省では、2023年(令和5年)度からスタートした新たな「教育振興基本計画」に沿って、また12月には、こども政策を総合的に推進すべく「こども大綱」が閣議決定され、デジタルも駆使しながら、新たな観点から一人一人に対するきめ細かな教育を実現するべく施策を展開していくという。

 少子化人口減が進み、次代を担うこどもの教育を担う学校の重要性はますます高く、こどもをめぐる社会環境の変化、そして課題も多様化する中で、その役割は多岐にわたる…としている。

 学校での役割も変化、「こどもたちに学習の機会と学力を保障する」「全人的な発達を保障する」「人と安全・安心につながることができる居場所としての福祉的役割を担う」ということが求められている。

 学校教育というと、学校内での学業が中心になり、デジタルも駆使しながらということだが、さらには、居場所としての福祉的役割を担う…ということも掲げられている。
 ただこれらは、学校内だけの問題ではなく、学校を取り巻く社会環境の変化によって、新たに多くの課題や問題点などが生じているという現実。

 私たちの周りにも、話をしている間で「ひきこもりでした」「不登校続けてました」という人たちも増えていて、そういった人たちが、自分たちの経験を踏まえ、同じような環境の今の子どもたちに手を差し伸べるような事業を、ボランティアに近いスタイルで頑張っている方々も増えてきているような気する。

人と安全・安心につながる居場所として福祉的役割担う

 今、世界中でいろんな形で社会が分断され格差が生じている現状があり、何か一つの括りで解決しようとしてもなかなか難しい。
 「こどもたちに学習の機会と学力を保障する」ということと、「全人的な発達を保障する」「人と安全・安心につながることができる居場所としての福祉的役割を担う」という2つのことが同時並行して進められようとしているが、学校という一定の枠の中でというと、突き詰めていくと相反する要素もあり、現場は大変なことになると思う。
 
 福祉的役割をというのも、教育という括りから一歩踏み出していく発想もないと難しいのだろう。そこには民間の力も必要だと思うし、この多様化の時代、学校と塾という形があるように、教育も別な形で二元化していくような形も求められていくのだろうか。

 ただ塾と違い、片や格差や貧困の中の福祉的役割ということであり、厚労省の直近の調査では、こどもの貧困率11・5%とされ、それが「学習の機会と学力を保障」という妨げになり、「全人的な発達を保障」や「福祉的役割を担う」機能も必要な社会。

 不登校だけでなく、発達障がいや引きこもりということも考えると、とても複雑になり、やはり一元的な考えでは答えのない問いかけになってしまうのか。

 なので、今の仕組みでは難しいのかもしれないが、前回述べたような学校現場での足し算ではなく、引き算的な形で周りと連携しながらでないと余計難しくなるのだろう。

一人一人のニーズに応じた多様な学びの場の確保が必要

 昨年の文部科学大臣によるCOCOLOプランも、一人一人のニーズに応じた多様な学びの場の確保が必要で、行政だけでなく、学校、地域社会、各ご家庭、NPO、フリースクール関係者等が、相互に理解や連携をしながら、子供たちのためにそれぞれの持ち場で取組を進めることが必要…としている。

 果たして学校現場で、家庭や社会の中で、そうした機運が高まっているかというと、まだまだこれからだと思うし、ややもするとデジタルも駆使しながら…というところに目が向きがち。
 これも大事なことだが、現実に不登校が増え続けている現状に、子どもたちのために何かできないか…と一緒になって考えることからスタート。

 支える周りの社会が変わるべきなのか、学校現場が変わる必要があるのかというどちらかでなく、双方で…。まずは問題提起を続けていきたい。(米永20241128)

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