2025年09月09日 20時00分

《農林水産 》

スクラブで「豚熱~野生イノシシ対策~」緊急セミナー

 第29回SKLV(スクラブ)セミナー 第2弾緊急セミナー「豚熱~野生イノシシ対策~」は、2025年9月5日開催された。
 9月2日に都城市における野生イノシシからの豚熱発生があり、タイムリーな企画となった。

 豚熱ウイルスを保有した野生イノシシは、ウイルスを持ったまま自然界で長期間生存・移動する持続的感染源となり、野生イノシシから飼養豚へ豚熱が感染するリスクは高く、感染拡大の主要因となっている。

 そのため、捕獲・監視・ワクチン散布・柵の設置・検査体制強化などの野生イノシシ対策は、豚熱封じ込めの鍵であり、一旦、山々に豚熱ウイルスが定着すると豚へのワクチン接種・陽性豚の殺処分だけでは根絶は困難。

 ウイルスが山中に定着する前に野生イノシシ対策を強化し、飼養豚での豚熱発生防止のためのセミナーとなったもの。

写真=宮崎県畜産局家畜防疫対策課の片山貴志氏

 この日は、高知県西部家畜保健衛生所の橋田菜々子氏による「管内における野生イノシシの豚熱経口ワクチン摂取状況調査」(2024年度家畜衛生学雑誌優秀論文賞受賞) の説明がオンラインであった。

 経口ワクチン散布については、夏季と冬季、米ぬかや圧ぺんとうもろこしなどイノシシの嗜好物で覆われ散布。
 イタヌキやイタチなどノシシ以外の野生動物の歯型がついていたり、コンクリートブロックや竹を使い工夫して設置、その報告と説明が行われた。

 また、宮崎県畜産局家畜防疫対策課の片山貴志氏による「宮崎県の野生イノシシ豚熱対策」におる説明があった。

 豚熱の全国での発生、都城市や高原町など宮崎県内での感染事例、PCR検査
による陽性頭数、経口ワクチンの緊急散布などの説明があった。

写真=オンラインによる橋田菜々子氏のセミナー

 会場には、鹿児島や宮崎の家畜保健衛生所、獣医師会、役場や民間企業など関係者が出席。

 オンラインでは。北海道から沖縄まで畜産関係団体、JAや企業、個人事業主のほか、農水省など官公庁からも112人が参加。

 熱心に聞き入り、また会場やオンラインからも質問があり、講師のほか、コメンテーターに、農林水産省 消費・安全局の高木恵実氏、鹿児島大学共同獣医学部附属SKLVセンターの伊藤聡特任講師が参加し、丁寧に答えていた。

 なお、スクラブでは昨年5月から、牛や豚、鶏などの生態や繁殖、防疫など一般参加、あるいは獣医師を対象にしたセミナーが30回ほど実施され、7年度からはオンライン参加もあって現地と合わせ300人近い参加があるなど、講義や実習などで産業動物についての知識、技術向上が図られている。

 9月10日には、5月に行われ好評だった「カラスの生態と対策第2弾~カラストリビア~」が開催される。

写真=コメンテーターの農林水産省 消費・安全局の高木恵実氏

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