2024年10月10日 11時10分
《大隅点描 》
タカクマママコナ(仮称)~刀剣山に孤立遺存した種か
鹿児島県桜島の東方に位置する高隈山系(最高峰大箆柄岳1236m)には、南限のシコクママコナ(ハマウツボ科)が分布するが、一方、同山系の刀剣山(661m)は、花崗岩からなる岩峰露頭で頂部は低木の生えるやせた乾き気味な浅土壌、その岩床に変種のママコナ属が群生し分布している。
茎高は20㌢から30㌢位で、まれに枝をうつものもある。
葉長は5㌢位、葉幅は12㍉位、葉柄9㍉位の小型で頂部の包葉はトゲ状の鋸歯がある。
花は紅紫色で唇弁にある米粒状隆起は白色である。
本種の発見は令和3年7月26日で以来11回現地を訪れ調査を重ね、花の開花は7月上旬から10月上旬と開花期間が長い。
一方のシコクママコナは高隈山系に広く分布し調査済みであるが、タカクマママコナは多くの植物図鑑を参考にしたものの、これに当てはまるものは1点もなく、おそらく刀剣山に孤立遺存した種ではないかと思われる。
分布地は高さ15㍍の垂直な岩頭に生えているため、ロープを掛けてよじ登ることから本種の発見が遅れた要因に上げられ、人の近づかないほかの岩峰頂部にも分布している可能性がある。
大隅の自然・歴史研究
坂元二三夫