2025年10月03日 19時24分

《歴史 》

戦争と平和を見つめ続けた絵本作家 やしまたろうと平和を詠む

 「やしまたろうの日」やしまたろうと平和を詠む~俳句募集&句会ワークショップが、2025年9月28日(日)、南大隅町役場3階大会議室で行われ、「八島太郎」についてのお話、句会ワークショップがあった。

写真=水枝谷清春氏による講演

 八島太郎は、戦争と平和を見つめ続けた絵本作家であり、画家でもある八島太郎は、「平和への願い」を胸に、私たちに希望と命の尊さを伝え続けてきました。また、晩年は俳句の会をつくり、「言葉」を、「日本語」を大切にしていたという。
 今年は戦後80年。この節目に、皆さんが感じる平和や感謝の気持ちを俳句で表現し、想いを未来へつなぎ、平和意識を高める機会になるよう句会も開催されたもの。

写真=石畑町長があいさつ

 この日、アメリカで深い交流のあった渡辺エリカ・フェラーさんから南大隅町に、八島太郎氏の絵画が寄贈され、そのお披露目があった。

 タイトル=Dried Fish(乾魚)
 制昨年1973年、淡彩素描6号サイズ
 所有者=渡辺正清、寄贈者=渡辺エリカ・フェラー

 絵に関して、池水聖子氏による説明があり、また、アメリカからこの日駆けつけた平林憲法さんが、その交友、思い出話を語った。

写真=寄贈された八島太郎氏の絵画のお披露目

写真=池水聖子氏による絵画の説明

写真=アメリカから駆けつけた平林憲法さん

 「八島太郎」についてのお話では、南大隅町図書館協議会の水枝谷清春会長が、「故郷根占をこよなく愛した画家であり、明治41年9月、根占川北で生まれ、八島太郎はペンネームで本名は岩松惇。

 父は医者で、岩松家は武士の家系、その生い立ちや家族、小学校時代、父と西南戦争のこと、母トクは、島津藩家老の家柄で、厳しく育てられつつも、皆に慕われた少年時代のこと。

 恩師とのエピソード、軍人を目指すも断念し、風刺漫画などを投稿、画家を志し、東京美術学校時代、軍事教練を散発的にボイコットするなどして退校となる。

 岡本唐貴の所属する造形美術協会、日本漫画連盟にも加入、抑制・強制に抵抗し、戦場へ行く友を思い平和を願いビラを作り、働く人を写し社会に訴える。

 20歳で漫画家として世に知られるようになる。丸の内新聞の漫画記者、漫画雑誌「東京バッタ」の連載、美術新聞の編集長も務め、プロレタリア芸術活動に傾斜。プロレタリアアートの中心的存在で、戦争批判の作品、反戦ビラ配布などで10数回にわたり逮捕拘留。

 妻光(ミツ)と夫婦で検挙拘置され、取り調べは厳しく、妻が妊娠しており地獄の苦しみとなった。

 プロレタリア美術連盟など解散させられ、画家として自立していく道を真剣に考える。

 全国の写生旅行、根占への帰郷もする中で、渡米の話があり、ニューヨークで生活。OMI、戦時情報局に勤務。

 日米開戦で帰国を考えるがかなわず、OMI辞職後、ザ・ニューサンを八島太郎の名前で出版、一躍時の人となる。

 ただ、アメリカ日本人社会では、活動を広げる姿に反感され、日本ではスパイと呼ばれる中で、アメリカOSS戦略情報局で働き、中国やインド戦線に派遣され終戦。
 
 アメリカ戦略爆撃調査団員として日本に派遣され、帰還後はニューヨークに居を構え出費つ活動に精を出し、47歳でからす太郎を出版しコルデコット賞受賞。絵画や相次ぐ出版で活動。

 64歳でやからんだの会を主宰し、死ぬまで例会開催。数々の賞を受け、平成6年85歳で淳没。
 その後も全国で多くの展示会が開催されている。

 やからんだの会や太郎の自由律句など紹介され、太郎にはいくつもの顔があることを伝えた。

 俳人で火の島俳句会同人、大隅史談会会長の瀬角龍平氏による句会ワークショップがあり、事前に募集をしていた俳句の表彰式や、当日詠まれた句の評論があり、その表彰もあった。

 事前投句一般の受賞者は次の通り(敬称略)。
 最優秀賞=原口洋一(鹿屋市) 炎天に太郎も跳んだ大樹あり
 第一席=南久美子(愛知県 食大事いのち大事と四十
 第ニ席=上原幸一(鹿児島市 この子らに戦なき世を稲穂立つ
     麻生良久(静岡県 沈黙の八月の空耳澄ます
    川元俊朗(南大隅町 特養のホールテレビては原爆忌

 事前投句児童・生徒の受賞者は次の通り
 第一席=井ノ上琉聖 神山小4 未来がどうなってるのかきになってる
 第ニ席=松元葵日菜 神山小3 赤いバラばくだんみたいにさいている
     吉田琉愛 根占中3 ひとしずく夏の地に落ち花咲かす
     川原伊織 第一佐多中 見上げればノンフィクションの青い空
 入選=棈木奏乃羽 神山小3 母さんにんぶさんだから手つだおう
  藤田綾梨 神山小3 休みの日家族てさん歩楽しいな
内薗郁  神山小3 たんじよう日ごうかなケーキ食べたいな
    藤井彪ノ介 神山小3 おべんとうとうさんてづくりハンバーグ
橋ロ滉輝 神山小3 たんざくのねがいはひとつかなうかな
上古殿太誠 神山小3 バスケてシュートパスをして元気だ
東山﨑稀琉斗 神山小3 うしごやてうしをそだてるおとうさん
上田中紫音 神山小3 クワガタはツノがピカリとひかってる
大竹野桃歌 神山小4 しよくたくをみんなてかこむいつまても
大久保慎え助 神山小5 戦争は未来にいらないものなのだ
坂元謙心 神山小6 ぼくたちは自然の中て生きている
水流叶愛 神山小6 争いは人の笑顔をうばってる
三宅琉叶 神山小6 はねつけてお空をとんだゆめの中
植木莉愛 佐多小4 戦争はいつも光をうばってく
湯田春馬 根占中3 原爆の遠く消えゆく秋の風
柏原莉子 根占中3 戦争を語る祖父の目夏の朝
宮ヶ原まひろ 第一佐多中2 産声が世界に色をあたえてる
木之下海斗 第一佐多中2 哀しいとききみがぼくをわらわせた

 当日句会の受賞者は次の通り。
 やしまたろうと平和賞 大久保博子 南大隅町 満ちてくるけふの健康彼岸花
            永井貴士 南大隅町 柿食ひて平和の鐘を聴ひてをり
 第ニ席 山下四郎 南大隅町 父母逝きて柿がぼつんと里の庭
 本高和弘 霧島市 南蛮の村を巡りて柿たわわ
 ニ第席 鶴園ー清 南大隅町 富有柿の色の増すごと父想う
 入選 中原ふみ子 南大隅町 待っている嬉しい知らせ彼岸花
    大久保幾美 南大隅町 彼岸花^島に学ぶ青き空

写真=瀬角氏による句会ワークショップ

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