《建設・インフラ 》
半島間結ぶ錦江湾横断道路推進4団体が一体化し連携協議会
錦江湾横断道路推進連携協議会が設立
大隅半島と薩摩半島を結ぶ横断道路実現目指す「錦江湾横断道路推進連携協議会」設立総会が、2024年11月25日、東桜島漁業協同組合会議室で開催された。
これは「桜島架橋建設推進協議会(桜島)」、「桜島大橋推進協議会(鹿児島市)」「錦江湾横断道路推進協議会(鹿屋・垂水)」「垂水市錦江湾横断道路推進協議会(垂水市)」の4団体相互の情報交換をもとに、錦江湾横断道路の早期実施路線化に向けた総合的な連携活動を推進することを目的として設立されたもので、会長には、桜島架橋建設推進協会の磯部昭信会長、ほか3団体の会長が副会長に就任した。
錦江湾横断道路建設推進に関しては、鹿屋経済同友クラブが、桜島架橋建設で2000年8月に大隅地域行政等との研修会を開催し、翌2001年には重要運動項目に決定。
2002年には、垂水経済同友クラブとともに国交省などとの研修会を開催。
2004年に鹿屋経済同友クラブ、垂水経済同友クラブ、大姶良経済文化同友クラブ、鹿屋西部商工同友会とともに桜島架橋推進協議会を発足させ、署名運動や募金活動、桜島架橋推進決起大会を開催。
2005年には、県民からの募金、504万円の浄財で桜島架橋基礎調査報告書を完成させ、1200人の参加者で、桜島架橋推進総決起大会を開催するなど活動。
2006年には、賛同者約15万人分の署名を県に提出。
県は、伊藤知事時代、2009年~12年度に実現可能性調査し実施、3つのルートの中で、景観を重視し「鹿児島市-桜島」を海底トンネルでつなぐ案が最適とした。
その後も、毎年のように東京や福岡に陳情、要請。さらに募金、署名活動を続けてきたが、桜島架橋推進協議会の名称を錦江湾横断道路推進協議会とした。
写真=調印する4団体の会長
鹿屋市で運動が始められ21年経ち、2021年には、鹿児島市で桜島大橋推進協議会が発足。県は高規格道路構想路線に位置付けた。
さらに、2023年には、桜島で桜島架橋建設推進協議会と、垂水市錦江湾横断道路推進協議会が設立され、それぞれ活動を続けてきた。
横断道路が繋がる鹿児島市と桜島では、「桜島大橋」「桜島架橋」としてる。
垂水市錦江湾横断道路推進協議会では、海底トンネルを念頭に置き活動。
ただ、4団体とも桜島の大噴火や災害時の住民避難の充実、救急医療体制の確保など防災・医療の観点、観光や物流の活性化による大隅地域への経済波及効果などが期待され早期実現を望んで活動している。
一方で、同路線と並行して運行されている桜島フェリーは、燃料費の高騰などで厳しい経営状況が続いている現状もある。
写真=来賓の宮路和明元衆議院議員があいさつ
設立総会では、発起人代表の桜島架橋建設推進協会、磯辺昭信会長があいさつ。
来賓の宮地和明元衆議院議員、平山哲鹿児島市議会議員、中元かつあき同議員があいさつ。
協議に入り、桜島大橋推進協議会の岩元節朗会長が設立の経過を説明。会の名称、次の目的など会則が承認された。
総合的な連携活動を推進するために、国や県及び鹿児島市に対する要望活動。関係自治体及び関係機関との連携と情報交換。調査・研究及び署名活動等による啓発・啓蒙活動。その他本会の目的達成のために必要な活動を行う。
会の事務所を東桜島漁業協同組合内「鹿児島市東桜島町413番地3」に置く。
役員選任では、磯辺会長が選任されあいさつ。ほか3団体の岩元節朗、久保薗東一、尾脇雅弥の3会長が副会長に選任された。
桜島架橋建設推進協議会の川添和善監事の朗読で次の決議を行った。
写真=連携協議会の磯辺会長があいさつ
桜島地区には約3200名の市民が暮らしていますが、桜島大噴火を想定した避難方法として、現在「船による島民避難」や「車両等による桜島束地区“桜島口”への避難」が考えられています。
しかし、天候に左右されずにいつでも避難できる「錦江湾横断道路」の建設は、桜島で暮らす人々の生命、身体、財産を守るための“命の道路”として最重要課題です。
この道路は、大隅半島と薩摩半島を繋ぐことで交通の利便性向上や生活圏の拡大、観光資源としても活用され、大隅半島をはじめとする九州南部地域の産業・経済・文化の発展に寄与します。
また、近年増加している自然災害への対応や救急医療体制の確保といった防災・医療の観点からも必要不可欠です。
2021年6月に策定された「かごしま新広域道路交通ビジョン」と「かごしま新広域道路交通計画」においても、この道路は鹿児島県幹線道路協議会により了承され、構想道路として位置づけられています。
我々は、「桜島架橋建設推進協議会(桜島)」、「桜島大橋推進協議会(鹿児島市)」、「錦江湾横断道路推進協議会(鹿屋・垂水)」、「垂水市錦江湾横断道路推進協議会(垂水市)」の4つの協議会が連携し、「錦江湾横断道路推進連携協議会」を設立します。
今後の活動において互いに連携を図り、錦江湾横断道路が実施路線化され、早期着工されるよう国や県、鹿児島市に対して強く要望します。
1/19 南栄リース桜島アリーナ(桜島総合体育館)で決起大会
なお、同連携協議会主催による決起大会が、令和7年1月19日(日)に南栄リース桜島アリーナ(桜島総合体育館・891-1419鹿児島市桜島横山町1722-17、℡099-293-2967)で開催される予定となっている。
磯辺会長は、報道陣のインタビューに答え「長年の懸案事項である錦江湾横断道路の実現に向けて、新たな一歩を踏み出すこととなりました。推進に向けまずは予算をつけてもらい、専門家の判断による調査で、橋かトンネルか決めてもらいたい」と語っていた。
鹿屋経済同友クラブ副会長で、桜島架橋推進協議会の設立時から携わる久保薗東一会長は、「会の中でも名称についても相当議論をしてきて、柔軟に検討できるよう団体名を変更した。命を守る道路、防災・医療の観点からも必要不可欠という考えはいっしょ。
ただ、トンネルで観光客が集まるのかは疑問という声も強い。県は今、南の宝箱として観光立県を大きく打ち出しており、地域を結ぶ架け橋のシンボルになる橋を今でも推し続けている」。
また、鹿屋経済同友クラブ会員からは「24年間運動を続けてきて、伊藤知事時代に景観を理由にトンネルということを言われたが、その後の選挙時の公約の横断道路に関してはトンネルを訴えておられず、その時点でリセットされたと考えている。知事も三反園さん、塩田さんと変わり、その当時とは環境が変わってきている。
一部報道でトンネルで決まっているのに、なぜ今、橋かトンネルかと言われるが、署名活動を鹿児島市内、中央駅前等で何度も何度も行いアンケートをしても、圧倒的に橋がいいという結果が出ている。
景観でなく観光や経済的な効果も含め、今一度、県民の声に耳を傾けてもらい、地質調査も含め専門家の意見も聞いて、どちらかを判断してもらいたい」など話していた。